2009年 01月 25日
#3 週末の駅前
2009年 01月 24日
#2 横須賀の情熱

横須賀基地の岸壁に仲の良い2羽のカラスがいた。車を近づけても逃げず、窓を開けても逃げず、カメラを構えても逃げなかった。天気予報では気温は17℃まで上がるといっていたのに、いつまでも寒いまま日が暮れてしまった。カラスはねぐらへ帰っても、きっと仲良くしているはずだ。
with GRDII 2009/1/24撮影
2009年 01月 23日
#1 白いパンプスの女

去年のいまごろ、北風が通り抜けている新宿の地下道で、ぼくはひとりの女性に呼び止められた。
「久しぶりじゃないの」
ぼくは女の顔を見つめた。
「ごめん、おもいだせないんだ」
女はぼくを見た。
「ほんとうに?」
ぼくは不安になってきた。女は傘を持つぼくの左腕を取った。
「そのうちおもいだすわよ」
ぼくたちはしばらく無言で歩いた。中村屋を過ぎ、タカノフルーツパーラーを過ぎてもぼくにはなにひとつおもいだすことができなかった。紀伊国屋の入り口を過ぎて、宝くじ売り場が見えてきたところで、ぼくはおもいきっていった。
「君の名を教えてくれないか?」
女は険しい顔をしてぼくを見つめ、腕を振り払うようにして歩み去った。
遠ざかってゆくパンプスの踵は豊かな白鳩の胸のようだった。女はすこし行くとまた立ち止まり、正面からやってきた男を止めた。男は背が高く、整った顔立ちをしていた。雑踏で彼女の声はまったく聴こえなかった。男は首を振った。
冷たい風が地下道を吹き抜け、道往く人々は前のめりに歩いていた。男はもういちど首を振ると、黒いビジネスバッグで女を振り払うようにして歩を進めた。男のそのやり方をぼくは憎んだ。
階段を登って地上へ出た。空も人もすべてが朱色に染まった広場にはたくさんの鳩がいた。北風に負けないようにからだをいっぱいに膨らませていた。白鳩を捜したが見当たらなかった。
with FinePix F30 2008/3/14撮影