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9ヶ月後に迫ったセカンド・ライフの準備を進めながら、じゃあ、そもそもオレのファースト・ライフっていったいなんだったのか、と考えた。結局、わかったことは、じつはファーストもセカンドもショートもサードもピッチャーもキャッチャーも外野もなくて、ともかく、ぼくの人生はフライフィッシングと出会って以来、フライフィッシングを中心に廻ることになったという事実だった。恋愛や結婚もあった。でもフライフィッシングとの関係に比べれば、あまり情緒的過ぎて、ほとんど真実の上っ面を撫でているようなものだった。恋愛は恥ずかしくなるほどに性的だし、結婚は息苦しくなるほど社会的で、仕事はひたすら競争だけれども、フライフィッシングは信じられないほどにニュートラルで、ナチュラルで、いつでもどこでもぼくの脇に寄り添ってくれてきた。だからぼくの生涯の伴侶はフライフィッシングであって、それ以外は無用な付け足しのようなものだ。というようなことを、次の本でエッセイ集としてまとめようとおもっていますが、その前に、とりあえずふらい人書房第2弾『釣り人の理由』を発行しました。人生とフライフィッシングの関わり合いを六つの物語で表現してみました。フライショップでの1ヶ月間の先行販売につづいて、昨日、ふらい人書房オンラインamazon、一般書店で正式発売しました。ことに第四話の『仕事より釣りが大事と思いたい』はセールスマンとして社会に出た主人公が、セールスマンのままサラリーマン人生を終えようとしている中で、フライフィッシングとその仲間によって救われているという、ほぼ私小説と言って良い物語で、ぼくのファースト・ライフをほぼ等身大で書いたものです。サラリーマン経験があれば共感する方も多いのではないかなって期待しています。
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by bbbesdur | 2018-03-24 19:17 | flyfishing

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 アラベラ・シュタインバッハのお母さんは日本人だそうで、だからミドルネームが「美歩」だ。かつてジェンダー問題のなかった古き良き時代に、吉田秀和はバイオリニストは美しい女流でなければならない、と言い放ったが、こんなに立ち姿が美しい人をぼくは知らない。バイオリニストに姿勢の悪い人はいないが、アラベラはまるでシャクヤクがバイオリンを弾いているようだ。ステージに現れた瞬間から、ぼくは彼女の虜になった。奏でられる音は楽器の良さもあって、天上的な滑らかさだった。アラベラのフレージングはちょっと独特だと思う。女流でいえば今はヒラリー・ハーンの巧さが傑出していて、協奏曲弾きとしては群を抜いて巧いが、アラベラは旋律をかなり長丁場で捉えているように聴こえた。フレージングの息がとても長くて、音楽でありながら聴衆に語りかけているような具合だ。だからかどうかドラマチックな盛り上げ方は得意ではない、というかあえて盛り上げないようにしているようにさえ聴こえる。メンデルスゾーンでそれをやる奥ゆかしさが良い。ともかくなにもかもが良い。ぼくの座席は彼女を右うしろから見る位置で、演奏中の表情を見ることはできなかったけれども、顔の代わりに、ハダけた肩の筋肉の動きを見ていた。しかしそれにしてもメンデルスゾーンでなければ観客を動員できない知名度でもないだろうに、やはりアンコールで弾いたバッハがおそろしく良かった。コンチェルト弾きというよりは、ソナタ弾きなんだと思う。メンデルスゾーンのあとは、シューマンで、驚いたことには指揮はクルト・マズアの息子で、顔立ちから、もしやと思ったけど、これまたお母さんが日本人だった。クルト・マズアが日本人の女性と結婚していたなんて知らなかった! つまりメンデルスゾーンのコンチェルトは日系ドイツ人ハーフの共演だったのだ。というか、地球のコスモポリタン化は確実に進んでいて、混血とかハーフとかいう言葉が死語になりかけている。池袋で飲んで帰った。

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by bbbesdur | 2018-03-11 00:09 | around tokyo