2010年 02月 08日
#296 露出補正の達人

日陰から逆光の日なたへ出てきた人は、トンネル効果でしばらくは目の前が白くぼんやりとしているはずだ。そのほんのわずかな瞬間を、ぼくはスナップ・シューターに与えられた「ホワイトアウト・チャンス」と(勝手に)呼んでいて、しばしば明暗の境に立ち、肉食動物が獲物を待つようにカメラを構える。このとき写真はかならず順光になるから、光を利用したダイナミックな写真は期待できない。でも、被写体の表情によってはわるくない結果が出ることもある。それなのにこの男性は、まるで目のなかに高性能のAEシステムが組み込まれているかのように、ぜんぜん眩しくなさそうにぼくの持つカメラを見つめ、なぜか笑ってくれた。たいへん失礼しました。完敗です。
with GRD3 2010/1/1撮影 多摩センター