2010年 01月 27日
#285 幸福のおでん
同僚が「おでんを食べたい」といったおかげで、ぼくたちは岩国の街をさまようことになった。おでん屋のない街なんてない、というぼくの楽観的な予想は外れ、この街でおでん屋を発見することはできなかった。全国チェーンの居酒屋なら間違いなくある、というぼくの断言は再びものの見事に外れて、メニュを不幸そうな表情で見つめた同僚は仕方なさそうに、代わりにモツ鍋を注文した。ぼくのなかではおでんの代わりにモツ鍋という選択は論理的に一致しなかったが、たぶん彼女のお腹は論理的じゃないのだ、とおもってなにも意見しなかった。それでもまあまあいい気分で店を出た彼女はコンビニに立ち寄った。女性はいろいろぼくの知らないものを買うから、外で待ったいたら、店からなんだかとてもうれしそうな表情をした男が出てきて自転車に乗った。見ればおでんをぶら下げているではないか。ぼくは、きっとおでんには人を幸福にするなにかのネタがあるのだと、論理的に推測した。
with GRD3 2010/1/27撮影 岩国