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#274 昭和通りの喧噪

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 GRD3が故障した。目立たない故障だけど、故障した。どう目立たなかったかというと、銀座のリコーサービスセンターに持っていっても「ちょっとわかりませんねえ」というくらいのレベルだった。でもリコーのサービスセンターは真摯な態度でぼくの説明を聞いてくれた。ぼくはこういった。
「フォーカスのときに、音がするようになったんです。チチチチッって」
 担当者、その場でGRD3を耳に当てて、音を確認する。
「フォーカスが合ったときに、鳴る音ではありませんか?」
「いえ、フォーカスがあったときにチッとなるのは知ってます。そうじゃなくて、合うまでにチチチッって音がするんです」
 担当者、もういちどGRD3を耳に当てて、音を確認する。
「わかりませんね。ちょっとお待ちください」
 担当者、ビルの上に上がって、サービスマンにチェックしてもらう。
「いやあ、皆、わからない、というんですがねえ」
 ぼくはリコーのサービスセンターが銀座の昭和通りに面していることを恨めしくおもった。わかるはずがない。じつは故障と決めつける前に、有楽町のビックカメラに行って、音の有無を確認してきたのだ。そうしたら、デモ機のひとつはぼくのと、おんなじ音がした。おかしいとおもって、別な1台で確認すると、音はしないで、一発でチッと鳴って合焦した。ぼくはこの実験をもってして、やっぱりぼくのはおかしい、と判断したのだ。
「いえ、ぼくは、音がするからおかしい、といってるんじゃなくて、フォーカスが遅くなったのが問題だとおもって、持ってきたんです」
「ああ、そうですか、音じゃなくて、フォーカスが遅くなったんですね。だったらわかります」
 ぼくは現象として音の方がわかりやすいとおもって、音のことをいったのだが、まちがっていた。たしかに問題は音ではなくて、フォーカスの速度だった。担当者はこういった。
「たぶん光学ユニットの問題です。交換することになるとおもいます」
 もちろんレンズごと替えてもらうなら、それで万全だとおもったから、ぼくは頷いたけど、ついでに余計なことをおもった。なんだ、リコーって、元々ユニット交換が得意なんだ、ってね。GXRのユニット交換アイディアはじつは開発チーム発じゃなくて、現場のサービスセンター発じゃないのかって、おもった。
 そして2日後のランチタイムにカメラを取りにいった(なかなか迅速だとおもう)。修理伝票にはこうある。
 ご指摘の症状<AFのスピードが遅くなっている>
 診断症状<鏡胴作動不良>
 交換部品<光学ユニットCCD付>
 そしてフォーカス時に音はせず、速度も元にもどっていた。GRD3が手元にない間のほぼ2日間、ぼくはうまく当たればホームラン、でも打率はかぎりなく低いDP1をピンチヒッターとして起用していた。2日ぶりに手にしたGRD3はまるでイチローのように銀座を駆け抜けてくれた。
 with GRD3 2009/1/6撮影 日比谷
by bbbesdur | 2010-01-09 00:43 | camera