2009年 12月 07日
#247 彼女たちに吹いた風
ひと月ちょっと前の#215で紹介したぼくの沖縄の同僚が昨日那覇マラソンに出場した。練習する前に「なにを着て走るか」を悩む彼女たちをぼくはたしか、わらったはずだった。
「そんなことかんがえる前に、走ったら?」
というぼくのシニカルな言葉を風のように聞き流し、もうひとりの同僚も巻き込んで、昨日12月6日の午前9時ちょうど、奥武山競技場に鳴り響いた号砲とともに彼女たちは駆け出した。毎日通う琉球リースビルを右手に見あげ、国際通りを抜け、ひめゆり通りを疾走し、南風原を、東風平を駆け抜けて、平和祈念公園に着いたときには、これでやっと半分だということが信じられずに空を仰ぐと、雲間からひめゆり部隊の女学生たちの笑顔が見えて、よし、なんとかひめゆりの塔まではがんばろう、と自分を鼓舞し、ひめゆりの塔でのたくさんの観光客の声援を背に受け、ようし、せっかくここまできたのだからなんとか糸満まで、と叱咤激励し、そして糸満ロータリーを通過したとき、初めて、もしかしたら!?という微かな希望が芽生えたが、しかし那覇空港入口で時計を見ると、制限時間まであと20分、まさか目の前で競技場のゲートが閉じられ、完走まで100メートルのところで泪を飲むなんて、そんなばかな、と痛む足を逆にアスファルトに打ちつけるように、彼女たちは最後の坂を、ありとある力を出し切って駆け下りた。
「完走おめでとう、ナナ、ユキ、チカ!」
ほんとうに、よくやったよ。自分へのご褒美で、いつものように祝杯をあげたらしいけど、こんどいったときには、ぼくがご褒美の飲み放題をサービスする。約束する。
オツカレサマ!
with GRD3 2009/10/19撮影 岩国