2009年 10月 24日
#214 片足で眠る男
このごろ困っていることがある。ホテルの掛け布団に羽毛布団が使われていることだ。以前はそんな贅沢は一流のホテルでしか経験できなかったけれども、昨今のビジネスホテルでは圧倒的に羽毛布団が主流である。これはおそらくウォシュレット同様、日本のホテルや旅館だけでの流行サービスだろう。毛布などと比べて毎日のメンテナンスも楽だろうし、ホテル側にもメリットがおおい。
でもぼくは羽毛布団が苦手なのだ。北国ならともかく、夜に冷え込むこともない地域で、なんであんなのをかぶって眠らなくちゃならないの。だいたいぼくは鳥じゃない。鳥は外で寝るから、暖かい羽毛が必要なのだ。ぼくたちはいまや冷暖房の効いた室内にいるのが常態的だし、着る服もある。寒くなんてないし、だいたい夏から羽毛なんてかぶっていられない。ぼくには暑すぎる。汗だくになって夜中になんども起きてしまう。フロントに代わりの毛布を頼むと、置いてないといわれ、部屋の冷房を効かせて眠るといいとアドバイスされるのだ。布団を暖かくして、その分部屋の温度を下げるなんて、なんでそんな複雑なことをしなくちゃならないの。
一昨日、ぼくはあまりの寝苦しさに、奇妙な夢を見た。部屋が狭すぎると電話でクレームを入れたぼくに、フロントの男は「立って寝るんです」とアドバイスし、部屋をよくよく見渡せば、金網越しの隣室で、背の高い男が片足で立って寝ていたのだ。
with GRD3 2009/10/21撮影 岩国