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#751 ショパンコンクール ファイナル2日目

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 3次予選までの演奏を聞いてきた限り、Soritaの最大のライバルと思われたAlexander Gadjievだが、どうしたんだろう、いつもの調子が出ていない。出てきたときからいつもの、ふてぶてしい顔つきとちがう。緊張しているような、集中できていないような、やはりコンクールの怖さってあると思った。とてつもない才能があることだけは間違いなく、それは出てくる音楽を聞けばわかる。でも、ミスが多すぎる。どこかしら仕組まれた八百長のようにさえ聞こえるほどだ。音楽の波に乗り損なって、何とか普段の自分を取り戻そうという必死さが伝わってくる。なんとかしようとするあまり、ダイナミックレンジが唐突に大きな方へ振れて、やや乱暴に聞こえる。オーケストラと合わせる方へまるで気が回っていない(まあ、曲が求めてないことも事実だけど)。相変わらず、音は素晴らしい。カワイの音はややゴージャスすぎると思うけれども、間違いなく参加者中で一番美しい音を出していると思う。

 しかしそれにしても改めてこのコンチェルト2番ってイージーリスニングの先鞭を付けた退屈な曲だと思った。オーケストラをピアノの伴奏に使っているだけで、どこにも飛躍や驚きがない。せっかくショパンを好きになりかけたのに、好きじゃない理由を思い出してしまった。それにしても、なぜGadjiev1番を選ばなかったんだろうか。大半の演奏者が1番を選ぶことはわかっているから、あえて目先を逸らす作戦だったのか? うーん、密かに応援してただけに、ちょっと残念。ついでにその次のMartin Garcia Garciaも聞いたけども、まあフツー。GadjievSoritaとは格が違う。

追記)最後のEva Gevorgyanも聞いた。音もキレイだし、よく弾いてるけど、まあ、フツー。やっぱりコンチェルトだと音量がどうしても重要になるが、力強さが足りない。ミスも目立つ。あとは音楽のどこにも驚きがない。あー、つくづく進藤実優のコンチェルトが聞きたかった。


by bbbesdur | 2021-10-20 21:56 | music