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#747 ショパンコンクール ステージ2 その6

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ここまで内容と写真がアンマッチなblogも珍しいかも(爆)!


Su Yeon Kim

・バラードから聞いたけれども、いきなり引き込まれた。素晴らしい!

・東洋人による正統派ショパンに聞こえる。

・音が瑞々しく、輝いている。ただペダリングが派手過ぎて、音が濁る箇所が多い。

・確固たる技術と豊かな音楽性に支えられた見事な演奏で安定している。途中から聞いたので、全体は分からないがバラードとポロネーズは名演だった。


Aimi Kobayashi

・冒頭から前回よりも「やってやる!」という意気込みが感じられた.

・じっさい前回よりは全然イイ。というか、曲が大きくなっていくに従って、私の耳に彼女のやりたいことが聞こえてきただけかもしれない。少なくとも音色のバラエティがある。

・幻想ポロネーズ、たぶん彼女はこの曲を葬送音楽のように感じているんだろう。極めて独特な音楽に仕上がっている。独特すぎて音楽が前に進んでいく推進力が犠牲になっている。前に進むというよりは、奥へ進んでいるようなのだ。 そもそもショパンの音楽って、ここまでの「解釈」に耐えられるんだろうか? 聞いたあと、難解な文学本を読んだ後のような疲労感が残る。少なくとも音楽を聞いた気はしない。

・それはバラードでも一緒で、やっぱり彼女の説明を聞いているような気がしてくる。ショパンの音楽を感情の起伏に従って揺れ動く「動と静」という両局で捉える演奏家は多いと思う。でもこの人はそれだけでは足りないみたいなのだ。静けさが死、悲しみ。盛り上がりが生、喜び。という自然界の2元世界を行ったり来たりしているように感じる。ショパンのすべての曲をそんなに複雑に解釈することが適切なアプローチなのかな? と思ってしまった。

・ワルツもワルツって感じじゃなく、Aimi Kobayashi世界でそれはそれでスゴいが、少なくとも私の好みではない。

・変ホのポロネーズも、これまでの3曲と変わらない。すべての曲が彼女の解釈で同じように聞こえるから、曲の特性が不明瞭になる。

・まあなんとも不思議な、あるいは禅的なショパンだ。第1次のときは、こういう風には感じなかったから、やはり出来不出来や、曲による変化があるのだろう。しかし西洋人が彼女の作り上げる静けさの中に、自然の万物が潜んでいるというような精神世界を感じることができるのだろうか。西洋音楽には西洋音楽の文脈というものがあるはずだ。

2次突破にこのおどろおどろしさが通用するかなあ。まあ他とは違っているという目新しさはある。しかしそれにしても長調を4曲揃えて、これだけ暗鬱に弾けるものなのか、と、ちょっと心配だったが、弾き終わってからの聴衆の反応は驚くほど良かった。拍手の長さは異常なほどだ。演奏後の挨拶で顔を上げた瞬間「してやったり!」という表情も見えた。もしかしてみんなフツーのショパンに飽きてるのかもしれないし、わたしの聴き方が日本人っぽすぎるのかもしれない。


Mateusz Krzyzowski

・一風変わったAimi Kobayashiの後だから、なんだかスッキリする。初のロシア人だが、音楽は伸びやかに進んでいく。

・弱音のパートではそれなりの工夫をして聞かせようとしている。

・ト短調バラード、悪くない。ミスは多いが、音楽が空気の波に乗って息づいているのがよくわかる。

・全体的に技術はイマイチで、弾き切れていないところも多い。それにしてもミスが多すぎる。こういうのって2次では結構、厳しくマイナスされてしまうんじゃないだろうか。

2次でエチュードって初めて聞いたかも。もうちょっと左手にはっきりとした表情があってもいいんじゃないか。

・英雄ポロネーズ。今回のコンクールでこの曲を一生分聞いた気がする(笑)。しごくまっとうなオーソドックスな演奏。今回聞いたいろいろな英雄ポロネーズには新鮮な演奏もまあまああった。序奏のあとに「英雄登場!」って感じで「ドーン」とテーマが出てくるところで、あえてソフトに入る演奏(日本人の二人Hayato SuminoTomoharu Ushidaがそう)は気持ちが良かった。でもこの人は極当たり前に弾く。しかしそういえばこの曲、今回女性で聞いてない。やっぱり男の曲なのか。


by bbbesdur | 2021-10-13 09:35 | music