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#738 テント親衛隊

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日本のアウトドアメーカーにはどちらかというと非メッシュ製テントが多く、米国のメーカーにはメッシュが多い。長い間の日本の山岳文化がそうさせているのか、あるいはアメリカ人と日本人の脂肪の厚さのちがいに起因するものなのか、はっきりしない。しかし米国メーカーも日本で売れないのは(日本の代理店も)困るから、米国では販売しない非メッシュモデルを日本限定で販売している。ビッグアグネスもニーモも日本限定品が存在しているのだ。で、このところのキャンプブームで人気が集中しているニーモのタニは現在ネット上で在庫がある店がない。

メッシュテントの3大美点は、結露しにくい、軽い、暑くないで、非メッシュの弱点はまさにそこにある。つまり結露しやすく、重くて、暑いのだ。でも、本当のところ、機能よりもわたしが気にしているのは、血を血で洗う派閥抗争である。メッシュ派、非メッシュ派、どちらにも親衛隊がいるのだ。こんな世界の果てにある超目立たないblogだからといって油断してはいけない。不用意にゴタクを並べて、なぜわたしが非メッシュ派なのかを説明した途端に、火の手が上がり、世界の果てが炎上する。世界の果てで燃え上がる炎を見ている人などいないというのに、焼身自殺さえ辞さない狂信者たちがいるのだ。フツーに暮らしている人には世界の果てで燃えさかる炎は見えないが、アウトドアに興味がある人の鼻には煙の匂いが届く。

で、余計な争いは止めよう、人類みな兄弟じゃないか、という日米どちらの陣営にも属さないオーストラリアのメーカーSEA TO SUMMITは、メッシュ製と非メッシュ製の選択ができるラインアップでテント製品のデビューを果たした。製品のヴァリエーションを増やす商品戦略は、間違いなくネガティブ要因として利益性にはね返ってくる。だからたぶん利益性を度外視して、人類の平和を優先しているんだと思う。賢い。人類が滅ぶとテントが売れなくなることに気付いているのだ。

SEA TO SUMMITの現在の日本代理店はロストアロー社で、創設者の坂下直枝氏はイヴォン・シュイナードの『アイスクライミング』の日本語訳者であり、著名な登山家でもある。パタゴニアの前身、シュイナード・イクイップメント時代からのシュイナードの盟友らしい。ロストアローという代理店の素晴らしさは、オスプレイのリュックを直に購入したときの営業の対応でわかった。それに日米の価格差がほとんどない(というか為替を考えると、日本の方が安いモノもある)のが、ダマされやすい消費者としてはとてもありがたいのだ。

で、メッシュ製と非メッシュ製をラインアップしているけれども、やはり日本では非メッシュ人気が高く、現在ALTO TR1 PLUS(非メッシュの方)はネットで在庫を置いている店がない。売り切れているのだ(つづく)。


by bbbesdur | 2021-09-22 21:02 | flyfishing