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#591 3匹の子豚

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 20年以上前、那覇に赴任した翌年だったと記憶しているが、ひと月の間に猛烈な台風が3つたてつづけに沖縄本島を直撃したり、掠めたことがあった。本土に到達する台風とちがって、沖縄にやってくる晩夏の台風は、なんといっても速度が遅い。太平洋高気圧に行く手を阻まれつつも、まだまだ海面の温度が高いから、発達しつつ北上するのだ。いままさに沖縄本島に上陸寸前の15号も時速15キロだから、買い物に出かける奥さんの自転車くらいの速度で進むのである。その年の台風は3歳児の三輪車なみの速度で島に突入してきて、疲れを知らない子供のように、はしゃぎつつ奄美へ向かったけれども、なかなか後姿がちいさくならないまま、溜め息まじりに南の空を見上げれば、なんと次の三輪車の姿がある、というような具合だった。そのときの3つの台風の中心気圧は950hPa以上だったはずで、いまや910hPaにまで発達しようとしている15号に比べればまるで弱い台風だった。その弱い台風をぼくは自宅でやり過ごした。公的機関や会社が休みになるところが、沖縄の台風の最大の美点であり、台風上陸前夜に翌日の休みを確信して、居酒屋で飲んだくれるのが正統的なうちなーんちゅの姿なのである。
 当時ぼくは比較的規模のおおきなマンションの6階の3DKを借りていたのだが、そのとき初めて台風で建物が揺れるという体験をした。いやたぶんほんとうは揺れていないのだが、吹きつける猛烈な風で部屋の気圧が変動するらしく、揺れているように感じてしまう。これは怖くて、なによりも気持ちが悪い。いつも身体が緊張しているし、もちろん眠れない。だから酒を飲むのだが、なにしろ相手がいないし、当時はWEBなんてないから、時間も潰せないし、酔っているから本も読めないし、酒を飲むしかない。だから船酔いの上に、悪酔いを重ねたような状態になってしまう。翌朝も確実に台風は真上にいて、会社に行けない。特に会社に行きたいわけではないが、さすがに「いいかげんにしてくれ!」と叫びたくなったが、なんと南にはさらに次の台風が順番待ちしてると知って愕然としたのだった。速度が遅いから、一夜明けると台風一過の青空なんてわけにはいかず、だからいまでも沖縄には「台風一過」という言葉そのものが存在しない。
 910hPaにまで発達した台風が島を直撃するとどうなるのか想像ができない。最近、沖縄では木造家屋の人気が出てきて、新築を検討しているモアイ仲間もいるが、こんどのような台風がもたらす風や塩や雨に石垣なしで耐えつつ、夏の間じゅうつづく直射炎熱にもじっと耐えていないとならない。数年は持つかもしれないが、やっぱり本土とは気候がちがいすぎる。経済的な点、想定外の台風の来襲の可能性もふくめて、長い目で見れば、やはり沖縄は石の島なんだとおもう。
 with RX100 那覇 2012/8
by bbbesdur | 2012-08-26 10:39 | okinawa