2011年 12月 11日
#508 静かな宇宙
欠け始めはそれほどドラマチックではなかった。写真を撮っても、ただの三日月にしか見えなかった。やがて月が地球の影に隠れて薄赤くなった。10倍の双眼鏡で見ると、漆黒の闇に浮かんだ丸い石の右下に微かに太陽の光が当たり始めていた。宇宙の静けさがレンズを通ってやってくるようだった。娘が「きれいだね」といった。ぼくも「きれいだ」といった。そのときだった。錯覚とおもえるほど微かな流れ星が、月をかすめて飛んだのだ。
with FujiFilm X10(1/4秒手持ち、f2.2、ISO800) 2011/12 自宅