2010年 09月 09日
#369 昭和の夕暮れ
なぜだろう、ぼくは夕暮れのホームに立つと昭和30年代を想うのだ。ことにそれがJRの駅だと。昭和30年代というのは、ぼくが小学校に上がる以前のことで、記憶と呼ぶにはあまりに頼りない過去だ。じっさい明確に覚えていることなんてひとつもない。だからほんとうは40年代なのかもしれないけれども、気分的には第2次世界大戦敗戦の余韻が漂っている気がして、だから自分で30年代とおもいこみたがっているのかもしれない。
あのころ、電車や列車は途方もなく暑かった。もちろん夏以外にも乗ったはずなのに、とにかく暑いというイメージしか残っていない。当時、首都圏の電車は国電と呼ばれていて、もちろん冷房なんてなかった。当時、立川に住んでいて、乗るのは中央線か南武線だった。
そのころに西日の射すホームで少年のぼくはなにかをおもったのだろうか、あるいはなにかを悟ったのだろうか。ぼくはこのまま西日に向かって進むのだ、というようなことを。そしてそれが暗い夜へとつながっている事実を、すでにそのころからかんじていたのだろうか。
with GRD3 2010/9/9 JR横浜駅