2010年 03月 20日
#304 金の卵
会社の仲間と蒲田川に行った。奥飛騨温泉郷を流れる高原川水系の上流部の支流で、平湯川との合流点前後に約1キロの極めて短いけれどもキャッチ・アンド・リリース区間がある。今年に入ってからいちども魚の放流は行っていないという。だから魚はすくなかった。でも釣り人もすくなかった。
今回いっしょに行った仲間にフライフィッシングを初めて間もない後輩がいて、ぼくたち先輩は、彼を「金の卵」と呼んでいる。そういっても、なんのことかわからないくらい彼は若い。地方の中学を卒業して、東京の企業に勤め始める若者たちは、かつてそう呼ばれていたのだ。高度成長期、日本の企業は人材確保に血道をあげていた。急成長をつづけるためには、たくさんの若者が必要だったのだ。戦争が若者を消費するように。
いまの日本のフライフィッシング界は老いさらばえている。いまどき33歳でフライフィッシングを始める若者はすくない。
草食系の若者たちよ、春の川にはたくさんの野草があるぞ。パソコンばかり眺めていないで、外に出かけ、いっしょに春の草でも摘もうじゃないか。今回は真ん中のおじさんが穫ったフキノトウを民宿で揚げてもらったけど、あれはいいものだ。苦みばしった後味のなかに春があって、ようやくぼくたちの季節がやってきたんだなあ、とおもうんだ。まあ飛騨牛もおいしかったけど。もし食べないなら、脂の乗り切ったぼくたちおじさんが食べてあげるからさあ、いっしょにフライフィッシングやろうよ。
with D700 AF-S NIKKOR 16-35mm F4G ED VR 2010/3/13撮影 栃尾