#677 痔の話 第3回

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 で、切ったわけ。
「歯医者さんと同じ局部麻酔をするので、ちょっとチクリとしますが、あとは痛くありません。心配なさらなくて大丈夫です」
 この医師は珍しく患者に丁寧な言葉遣いをするのである。わたしは常々医師にありがちな「自分が偉いと思っている」態度、および言葉遣いを不服としている者であり、そうでないこの医師をエラいとおもった。好きな人にはお尻見せてあげるけど、好きじゃない人にはお尻見せたくないよね。
 じっさいチクリとした。腕に注射されるのは、子供の頃からやってきているから慣れている。でも、お尻にチクリとされるのは慣れていないから、ちょっとばかり痛かった。でも、まあ大したことはなかった。麻酔が効いているようで、メスを入れているらしいが、まったく痛くはない。
「うーん、かなり粘度のある膿ですね。出てこないなあ」
 という。粘度があると良くないらしい言葉の響きで、ちょっと不安になった。さらさらの膿なんて想像できないとしても、このときぼく脳裏には「この手術だけじゃ、治らないのか?」という不安が去来した。しかしほどなく医師は、
「あ、出てきた」
 と言って、つづいて
「おー、いっぱい出てきた」
 と言って、ぼくは安心して、
「出てきましたか」
 とほとんど意味のない相槌を打った。
「ちょっと押しますよ」
 と、医師は言って、お尻の中心に指を入れ(人差し指か中指かわからなかった。あんまりこのブログ記事とは関係ないとしても)、グリグリと内側から膿を押し出すようにした。それほど痛いとはおもわなかった。ちなみにぼくが男の人の指を初めて受け入れたのは、たしか33歳か34歳の頃、那覇でのことで、相手は山城さんだった。というか山城外科の院長だったわけだけど、生まれて初めて痔(いわゆるいぼ痔)になったのだった。山城さんに入れられた指があまりにショックで、終わったあと立ち上がれないぼくに看護師さんが「大丈夫ですか?」と聞いてきた。ぼくはかなり動揺していた。それにしても、あのころは本当に毎日が飲み会だった。間違いなくアルコールはお尻に影響したはずだ。ともかくお酒が痔に悪いことだけは、明確です。かなり悪いとおもう。でも、若いうちは免疫力が強かったからか40歳ごろまでは一度も再発しなかった。というわけで、大昔テレビでやっていた「巨人の星」並みの遅々として進まないストーリー展開だけど、しばらくはこの調子でつづけていきます。ではまた!


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# by bbbesdur | 2017-02-23 21:14 | health care

#676 痔の話 第2回

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 医師からはしばらくお酒は控えるようにと指示されたが、翌週は沖縄出張だった。お酒なしの沖縄出張はムリなのだった。だから飲んだ。それも必要以上に飲んでしまった。帰京する前の晩、仲間と国際通りから海側に向かう路地沿いにある海鮮ワイン居酒屋とでも呼ぶべき店に行って、飲み放題のワインを飲んだ。飲み放題のワインにロクなものがないのはこの世の常識だ。しかし沖縄では酒の種類や店にこだわらないのがぼくの信条なのである。沖縄では何にせよ、こだわるという行為そのものに、どこか行き過ぎの感が付きまとうからだ。そもそも「こだわらないのが信条」なんて言っていること自体がひとつのこだわりであって、早い話がぼくは沖縄を愛しているけれども、絶対にうちなーんちゅにはなれない種類の男なのだ。というふうに、いつものように沖縄について語り始めると、この一年後の現在にいつになっても辿り着かない。ともかくこだわりやら何やらを一切省略して一言で言えば「飲み過ぎた」のである。いやあ、じつにすっきりとした表現ではないか。で、どうなったかというと、翌朝、お尻の中心が痛くなったのだ。それもいますぐ病院に行きたいとおもうくらいに。夕方のフライトを午前の便に変更し、飛行機のなかでお尻をずらしつつ痛みをうっちゃり、羽田から会社に戻らず、病院へ直行した。指示を守らずお酒を飲んだら腫れたと正直に医師に告げると、想像とは真逆に「腫れましたか!」と明らかに喜んでいるのだった。診察台に移っても「いやあ、ぷっくり腫れてますね。痛いでしょう」とやっぱりどこか嬉しそうな声音で語りかけて来るのだった。医師が喜んだのは、患部が腫れ上がって、場所の特定が出来たかららしかった。ここまで腫れると、切るしか方法がないが、いいか、と聞くから、これが噂の日帰り手術かとおもい、「やってください」と答えた。つづきはまた近々書きます。

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# by bbbesdur | 2017-02-22 09:26 | health care

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 痔の話だ。長くなる予感がする。痔の治療の話じゃなくて、このブログの記事のことだ。身を切った痛みが自動的に文章に凄みを増し、楽に書き進むことができると期待しつつ書き始めることにする。
 お尻の中心(つまりK門のことだが、ブログ再開にあたって品位を大切にしようと決めたので、極力婉曲な表現で行くのです)に異変を感じたのは昨年のちょうど今頃だった。40歳を過ぎた頃から3年に1度くらい、寒い日がつづいたある冬の朝に、お尻の中心が痛むことがあった。その度に薬局へ行き、坐薬ポラギノールを買って、お尻の中心に挿入した。お尻の中心に遠慮して腰が引けた入れ方をすると出てきてしまうから、痛いのは多少我慢してしっかり奥まで入れ込むことが大切だ。まあ入れ方には個人技があるとして、痔そのものについて言えば、ともかく薬を入れれば、1週間程度で消失するのが常だった。だから一年前にお尻の中心が痛み始めた時も、迷わずにポラギノールを買ってきて入れた。ところがいつもと違って、まるで痛みが引かなかったのである。いや、当時を思い出して正確にいうなら、そもそもがいつもと同じではなかった。お尻の中心は痛むけれども、いつもと違って、なぜかイボ状の膨らみは存在しなかったのだ。だからおかしいな、と思いつつも、お尻の中心は可能な限り他人に見られたくないから、病院に行かずにグズグスとしていた。そうこうしているうちに年度末となり、会社の打ち上げがあって、少しだけ飲み過ぎた。翌朝、いつもにも増して痛むお尻の中心に覚悟を決めて病院へ行くことにした(この時はまったく気づかなかったけれども、明らかにお酒はお尻に影響するのです)。インターネットで会社の近くの病院で評判の良いところを探して、会社帰りに診察してもらった。看護師は全員女性だった。この世には女性にお尻を見せることが大好きな男がいて、その時だけぼくは自分がそういった性向を持った男だと思い込むように努力したが、現実には腰が引けていて、看護師から逆に「もう少しお尻を突き出すようにしてください」と要求されてしまった。医師は男性で、だから良いってものでもないが、羞恥心に壁を向いたぼくが頬を染めているとは知らず、医師はK門周囲膿腫と診断した。抗生剤で治る可能性があるから、まずは薬でやってみましょう、という。ぼくは薬で治らない場合にどうなるのかという質問をするのが怖くて、じっさい口にしなかった。そして薬は効いた。少なくとも痛みは気にならなくなったのだ。こうしてぼくの痔はあっさり治癒したかと思われた。しかし、もちろん薬は単に痛みを抑えていただけだったのだ。以下次回につづきます。

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# by bbbesdur | 2017-02-20 20:59 | around tokyo