冬は右、夏は左

a0113732_2147353.jpg

 羽田から那覇へ向かうとき、冬ならば飛行機の座席は右側の窓際を予約するといい。すぐに横浜、横須賀と見えてきて、やがて三浦半島が窓枠いっぱいくらいのおおきさになる。遠くには雪をかぶった富士山が見えていて、もっとちかくで見たいなあ、とおもうあたりで飛行機はちゃんと右に旋回してくれる。窓の下に駿河湾が緩やかに弧を描くあたりで富士山は最接近して50mmの標準レンズでもこのくらいのおおおきさに写る。富士山の背後にあるのは南アルプス、そして遥か遠くの地平には北アルプスの山並みが見えていて、いまこのときにも穂高から槍ヶ岳を縦走している者たちがいる。
 そして飛行機は太平洋沿いに飛び、大井川、天竜川、そして渥美半島が見えてきたあたりで、陸と完全に離れて洋上へ、一路、琉球へ向かう。
 飛行機は沖縄本島に到達すると東海岸沿いを飛び、海中道路、津堅島、久高島を見て知念半島をぐるりと右旋回しながら、どんどん高度を下げてゆく。摩文仁の丘、喜屋武岬といった沖縄戦最後の激戦地がちいさく平和に見えている。糸満港上空を飛び、ちかごろ急速に開発が進んでいる埋め立て地を過ぎ、飛行機の影が波の上を揺れながらおおきくなってゆくころには正面のプロジェクターいっぱいに滑走路が見えている。こういった光景を左側の座席に座っている人たちはいっさい目にすることができない。だからといって夏に右の座席に座ると、黒い富士山と霞んだ駿河湾と海しか見えないまま、どすん、と着陸してしまう。東京、沖縄路線の基本は、冬は右、夏は左。
 with D700 Sigma 50mm 1.4 2009/2/4撮影
[PR]
# by bbbesdur | 2009-02-07 21:40 | okinawa

朝だって斜陽

a0113732_0203912.jpg

 今朝の六本木ミッドタウン前で。なかなかに渋くママチャリに乗ってるこの人はなにをしている人だろう。あるいはもうなにもしてなくて、散歩代わりに自転車かな。料理人の雰囲気もあるけども、現役だったらこの時刻にこの姿で自転車を漕いではいないはずだ。六本木から赤坂にかけては、老夫婦だけでこじんまりとやっている居酒屋や小料理屋がおおかったけれども、この数年で激減している。安くておいしい店がおおかったのに。この人も息子娘が継がなくて、店を畳んだのだろうか。
 with GRDII 2009/2/3撮影
[PR]
# by bbbesdur | 2009-02-04 00:21 | around tokyo

便宜的に生きる

a0113732_23364632.jpg

 女の子がいつから女になるのか知らないけれども、すくなくともぼくが男の子の頃は女はみんな女の子だった。女の子というのはじつにやっかいな存在で、なにかにつけて男の子に食ってかかるものだ。小学6年生だったぼくに、隣の席の小林さんは「咳をするときは口に手をやるものよ」とか「y.b君、上履きが汚いから、こんどの週末には家に持って帰ってお母さんに洗ってもらいなさいよ」などといった。小林さんは自分の母親を無意識のうちにコピーしていたのだろうけども、きっと女の子はそうやって女になってゆくのだ。そういえばバス停前のちいさな書店でハレンチ学園を立ち読みしていたぼくを見つけて、大隈先生にいいつけたのも小林さんだ。きっとぼくが男になるのがいやだったんだ。免疫学の世界では、地球に先に登場した女が、生殖の都合でペニスを持った男を作りだしたというのが定説だそうで、ともかく男は便宜的にこの世に現れたらしい。自分たちの都合で作り上げた男という性を本能的にどこか小馬鹿にしているのが女の子で、創り出したものの、性の怪物がなにをするかわからなくて怖れているのが女だ。きっとそうなのだ。
 with GRDII 2009/2/2撮影
[PR]
# by bbbesdur | 2009-02-02 23:32 | around tokyo