休館日の愛情

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 通りがかりにカップルの言い争いを耳にすることがある。たいがいの場合、男がわるい。女が謝っていることなんて、まずない。このカップルは中国語を話していたから、内容はわからなかったけれども、明らかに男が劣勢だった。撮影しているぼくの背後には新国立美術館があるのだが、閉ざされた鉄のゲートに「本日閉館。休館日は毎週火曜日」とある。男はかつて東京に留学でもしていたのか、なまじっか日本の事情を知っていたばっかりに失敗したのかもしれない。日本の公立施設の大半は月曜日が休館だというのに「なんでここだけ火曜日なんだよー」と、今日ここを訪れた相当数のカップルの男が嘆いたように。
 なぜ男がわるくなるかというと、じつは女が男を愛しているからなのだ。男は女がどれだけ自分が愛されているかをいつも気にしていることを知っているから、彼女を喜ばせようと、昼も夜もがんばる。でも、悲しいことには細かな準備や配慮は得意じゃないのだ。女はもちろん自分を基準にしか思考できないから「わたしを愛しているんだったら、事前の下調べくらいあたりまえ。いまどきネットで検索すれば休館日くらいすぐにわかるでしょ」となる。自分で下調べをしないところが「彼を信じる愛情の賭け」でもあって、いま新国立美術館前で男にいい募っている彼女は怒っているように見えるけれども、ほんとうは賭けに負けて、悲しいのである。
 春節も終わってしまった。君たちは母国に帰らなくてはならない。でも、きっとだいじょうぶ。ながい休暇の最後の夜だ、きっと、仲直りしたくなる。ふたりにはその理由がある。男は、こんどはうまくやれるはずだ。
 with FinePix F30 2009/2/10撮影 六本木
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# by bbbesdur | 2009-02-11 09:00 | around tokyo

砂漠のナポレオン

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 異国の地に暮らす母と娘はチェリーの花を見にやってきた。娘はチェリー・フェスティバルと聞いてやや興奮してやってきたのだが、だだっぴろい丘には高い石垣があるだけで、好物のサクランボはなかった。ずいぶん前に家族三人で行ったイチゴ狩りをイメージしていたのだが。とっても楽しいおもいで。でもいまお父さんは家にはいなくて、とても暑い世界のどこかに行っている。お父さんにもサクランボを送ってあげようとおもってやってきたのに。
 with GRDII 2009/2月 沖縄 今帰仁城趾にて撮影
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# by bbbesdur | 2009-02-10 00:20 | okinawa

Flappuccino stoic

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 青年はノートを広げて勉強を始めた。書かれてあるのは英語だから、基地のなかの高校に通っているのだろう。明らかに日本人の血が混じっている。期末試験だろう。自宅でやらずにわざわざスターバックス北谷店までやってくるのは、すこしでも世界を明るくしたいから。試験が目の前に迫れば、学生はだれだって気が重くなる。やらなくちゃならない勉強の量をかんがえて暗澹とし、サボった場合の結果を想像しながら、鉄のように重いノートのページを開くのだ。テーブルに甘いハニー・オレンジ・フラペチーノがあれば、すこしは前に進める、試験の後のデートをおもうこともできる。でも君はいまは彼女には電話もメールもしない。君の将来を明るくすることができるのは、君だけだから。
 with GRDII 2009/2/5 沖縄北谷にて撮影
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# by bbbesdur | 2009-02-08 21:50 | okinawa