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 釣りを終えて、東京に戻ったぼくは、ガーゼについた黄色のそれが、イヤなニオイを発していることに気づいた。もちろんお尻から出るニオイだから、期待する方がどうかしているとしても、少なくとも長年嗅ぎ慣れてきた例の「摂取物の残滓」が発するニオイとは明確に違っていた。ぼくはまたまたインターネットで様々なサイトを検索した。医療機関が公開しているサイトやまさしくぼくが今書いているような体験談を掲載したブログから得た情報を総合すると、ぼくはK門周辺膿腫から痔瘻へと進んだらしかった。このあたりはぼくが調べたかぎり、この病気のもっともわかりにくかった点なので、ここに正確に記しておく。後進の皆さんは大いに参考にしてほしい。K門周辺膿腫というのは、K門の内側にあるK門小窩から入り込んだ雑菌でK門腺が炎症を起こし、膿を孕んでしまった状態をいう。たぶん、この説明ではほとんどの人が理解できないとおもう。なので、まず初めにK門の構造について説明しようか。
 K門はご存知の通り、人が体内に取り込んだ「摂取物の残滓」が体外へ放出される最終ポイントである。3Kどころではないダーティー・ジョブに慣れているヤツだから、さぞかしハード・ボイルド系の逞しいヤツに違いないと想像している人が多いと思うが、意外なことにはかなり繊細で、文字どおり、傷つきやすい性格をしているのだ。K門の内側はヒダヒダになっていて、その部分はK門小窩と呼ばれる。小窩と呼ばれる名の通り、ヒダヒダの凹部分はちいさな窪みになっている。この小さな窪みに雑菌が溜まることによって、K門の内側が炎症を起こすのだ。「おいおい、窪みに雑菌が溜まるって言われても、そもそもK門って雑菌の通り道じゃないの?」という疑問は正しい。ぼくもそうおもって医師に聞いた。医師は「じつはK門というのは毎日毎日、離れ業をやってのける凄い器官なんです」と答え、ぼくはそのとき、ふとスーパーキャッチをするイチローをおもった。正確に言うと、雑菌は通過しても炎症を起こさないが、留まることによって炎症を起こすらしいのだ。その最大の原因が下痢なのである。下痢が繰り返されることによって、雑菌が勢い良く、くぼみの奥へと押し込められ滞留してしまうのである。滞留した雑菌がK門に隣接するK門腺に感染して炎症を起こし、やがて膿が溜まる。さしものイチローだって、毎日毎日働きづくめではさすがに疲れも溜まってエラーも出るというものである。そして炎症はアルコールを代表格とする刺激物によって悪化する。K門線はK門の外側に向かって伸びていて、腫れると外側から見える。沖縄の暴飲で腫れたぼくのお尻を見て医師が喜んだのは、どこを切れば良いかが明確になったからだ。
 というわけで、ここまでがK門周辺膿腫へ至る道筋である。で、K門周辺膿腫の治療には抗生剤が効くことがあり、沖縄に行く前に医師がぼくに施したのが、この第1段階の処置だった。で、第2段階が患部を切って膿を出し、炎症を軽減する処置で、ぼくが釣りに行く前日に受けた治療だった。で、この処置を受けることによって、結果的にK門の内側とお尻の外側が一本の穴で繋がることになり、この状態を痔瘻、もしくはそのものずばりの「アナ痔」と呼ぶのだ。もともとあるお尻の穴とは別に、お尻の中と外が繋がるまったくもって余計な穴で活躍する次号のイチローにご期待を!


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by bbbesdur | 2017-02-28 22:26 | health care

#678 痔の話 第4回

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 患部を切開して盛大に膿を出し、日帰り手術を終えた気になっていた(じつはこれは手術ではなかったのだ)ぼくには、しかしひとつ問題があった。まさにその日(金曜日)の深夜に岩手に移動して、現地の友人と釣りをする予定だったのだ。ぼくには友人との釣りの約束だけは余程のことがなければドタキャンしないというポリシーがある。「余程のこと」が今回の痔の手術(とおもっていた)に相当するかどうかは判断が難しかった。迷った末に痔なんてキャンセルの理由にはならないという結論を出した。しかし岩手まで車で行くとなると、途中の仮眠を入れて8時間以上はかかる。痔の手術の翌日に8時間ひとりでドライブするっていうのは、さすがにマズいとおもった。そこで急遽予定を変更し、翌朝発の東北新幹線に切り替えた。それもできる限り負担を軽減するためにお尻にグリーン車を奢った。じっさい移動中にはまるで問題はなく、ときどき揺れる新幹線のトイレでお尻に貼られたガーゼを確認したが、出血がひどくなっている気配はなかった。友人との釣りは愉しかった。岩手南部の里川では桜が満開で、うららかな初春の陽気にヤマメたちも浮かれていた。しかし土手を上り下りするときに、普段はまったく意識することのなかったお尻の筋肉の重要性を思い知った。やはりムリがたたったのか、帰りに寄ったラーメン屋ではカウンターの止まり木に直接座ることが出来なかった。お尻が痛いんだけど、というとお店の女の子が気を利かせて座布団を持ってきてくれた。ぼくはいっぺんでその女の子が好きになった。岩手の女の子は優しい。初日に宿に戻ってシャワーを浴びたが、やはり切ったところから、多少の出血があった。まああれだけ運動したのだから仕方がないだろうとおもった。翌日ももちろん釣りをした。雲が多くて寒い1日だった。ヤマメたちも前日の陽気さとは打って変わって不機嫌に黙り込んでしまった。まあ釣りにはありがちなことだ。その日は釣りを早めに切り上げ、宿に戻って、シャワーを浴びる前にガーゼを確認すると、なんだか前日と様子が違っていた。血ではなく、黄色く汚れたシミが出来ていた。切開した部位から、膿が出ている。おかしい、普通ではない。ぼくはその日のヤマメのようにたちまち元気を失った。つづきます。

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by bbbesdur | 2017-02-27 20:54 | health care

#677 痔の話 第3回

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 で、切ったわけ。
「歯医者さんと同じ局部麻酔をするので、ちょっとチクリとしますが、あとは痛くありません。心配なさらなくて大丈夫です」
 この医師は珍しく患者に丁寧な言葉遣いをするのである。わたしは常々医師にありがちな「自分が偉いと思っている」態度、および言葉遣いを不服としている者であり、そうでないこの医師をエラいとおもった。好きな人にはお尻見せてあげるけど、好きじゃない人にはお尻見せたくないよね。
 じっさいチクリとした。腕に注射されるのは、子供の頃からやってきているから慣れている。でも、お尻にチクリとされるのは慣れていないから、ちょっとばかり痛かった。でも、まあ大したことはなかった。麻酔が効いているようで、メスを入れているらしいが、まったく痛くはない。
「うーん、かなり粘度のある膿ですね。出てこないなあ」
 という。粘度があると良くないらしい言葉の響きで、ちょっと不安になった。さらさらの膿なんて想像できないとしても、このときぼく脳裏には「この手術だけじゃ、治らないのか?」という不安が去来した。しかしほどなく医師は、
「あ、出てきた」
 と言って、つづいて
「おー、いっぱい出てきた」
 と言って、ぼくは安心して、
「出てきましたか」
 とほとんど意味のない相槌を打った。
「ちょっと押しますよ」
 と、医師は言って、お尻の中心に指を入れ(人差し指か中指かわからなかった。あんまりこのブログ記事とは関係ないとしても)、グリグリと内側から膿を押し出すようにした。それほど痛いとはおもわなかった。ちなみにぼくが男の人の指を初めて受け入れたのは、たしか33歳か34歳の頃、那覇でのことで、相手は山城さんだった。というか山城外科の院長だったわけだけど、生まれて初めて痔(いわゆるいぼ痔)になったのだった。山城さんに入れられた指があまりにショックで、終わったあと立ち上がれないぼくに看護師さんが「大丈夫ですか?」と聞いてきた。ぼくはかなり動揺していた。それにしても、あのころは本当に毎日が飲み会だった。間違いなくアルコールはお尻に影響したはずだ。ともかくお酒が痔に悪いことだけは、明確です。かなり悪いとおもう。でも、若いうちは免疫力が強かったからか40歳ごろまでは一度も再発しなかった。というわけで、大昔テレビでやっていた「巨人の星」並みの遅々として進まないストーリー展開だけど、しばらくはこの調子でつづけていきます。ではまた!


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by bbbesdur | 2017-02-23 21:14 | health care

#676 痔の話 第2回

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 医師からはしばらくお酒は控えるようにと指示されたが、翌週は沖縄出張だった。お酒なしの沖縄出張はムリなのだった。だから飲んだ。それも必要以上に飲んでしまった。帰京する前の晩、仲間と国際通りから海側に向かう路地沿いにある海鮮ワイン居酒屋とでも呼ぶべき店に行って、飲み放題のワインを飲んだ。飲み放題のワインにロクなものがないのはこの世の常識だ。しかし沖縄では酒の種類や店にこだわらないのがぼくの信条なのである。沖縄では何にせよ、こだわるという行為そのものに、どこか行き過ぎの感が付きまとうからだ。そもそも「こだわらないのが信条」なんて言っていること自体がひとつのこだわりであって、早い話がぼくは沖縄を愛しているけれども、絶対にうちなーんちゅにはなれない種類の男なのだ。というふうに、いつものように沖縄について語り始めると、この一年後の現在にいつになっても辿り着かない。ともかくこだわりやら何やらを一切省略して一言で言えば「飲み過ぎた」のである。いやあ、じつにすっきりとした表現ではないか。で、どうなったかというと、翌朝、お尻の中心が痛くなったのだ。それもいますぐ病院に行きたいとおもうくらいに。夕方のフライトを午前の便に変更し、飛行機のなかでお尻をずらしつつ痛みをうっちゃり、羽田から会社に戻らず、病院へ直行した。指示を守らずお酒を飲んだら腫れたと正直に医師に告げると、想像とは真逆に「腫れましたか!」と明らかに喜んでいるのだった。診察台に移っても「いやあ、ぷっくり腫れてますね。痛いでしょう」とやっぱりどこか嬉しそうな声音で語りかけて来るのだった。医師が喜んだのは、患部が腫れ上がって、場所の特定が出来たかららしかった。ここまで腫れると、切るしか方法がないが、いいか、と聞くから、これが噂の日帰り手術かとおもい、「やってください」と答えた。つづきはまた近々書きます。

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by bbbesdur | 2017-02-22 09:26 | health care

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 痔の話だ。長くなる予感がする。痔の治療の話じゃなくて、このブログの記事のことだ。身を切った痛みが自動的に文章に凄みを増し、楽に書き進むことができると期待しつつ書き始めることにする。
 お尻の中心(つまりK門のことだが、ブログ再開にあたって品位を大切にしようと決めたので、極力婉曲な表現で行くのです)に異変を感じたのは昨年のちょうど今頃だった。40歳を過ぎた頃から3年に1度くらい、寒い日がつづいたある冬の朝に、お尻の中心が痛むことがあった。その度に薬局へ行き、坐薬ポラギノールを買って、お尻の中心に挿入した。お尻の中心に遠慮して腰が引けた入れ方をすると出てきてしまうから、痛いのは多少我慢してしっかり奥まで入れ込むことが大切だ。まあ入れ方には個人技があるとして、痔そのものについて言えば、ともかく薬を入れれば、1週間程度で消失するのが常だった。だから一年前にお尻の中心が痛み始めた時も、迷わずにポラギノールを買ってきて入れた。ところがいつもと違って、まるで痛みが引かなかったのである。いや、当時を思い出して正確にいうなら、そもそもがいつもと同じではなかった。お尻の中心は痛むけれども、いつもと違って、なぜかイボ状の膨らみは存在しなかったのだ。だからおかしいな、と思いつつも、お尻の中心は可能な限り他人に見られたくないから、病院に行かずにグズグスとしていた。そうこうしているうちに年度末となり、会社の打ち上げがあって、少しだけ飲み過ぎた。翌朝、いつもにも増して痛むお尻の中心に覚悟を決めて病院へ行くことにした(この時はまったく気づかなかったけれども、明らかにお酒はお尻に影響するのです)。インターネットで会社の近くの病院で評判の良いところを探して、会社帰りに診察してもらった。看護師は全員女性だった。この世には女性にお尻を見せることが大好きな男がいて、その時だけぼくは自分がそういった性向を持った男だと思い込むように努力したが、現実には腰が引けていて、看護師から逆に「もう少しお尻を突き出すようにしてください」と要求されてしまった。医師は男性で、だから良いってものでもないが、羞恥心に壁を向いたぼくが頬を染めているとは知らず、医師はK門周囲膿腫と診断した。抗生剤で治る可能性があるから、まずは薬でやってみましょう、という。ぼくは薬で治らない場合にどうなるのかという質問をするのが怖くて、じっさい口にしなかった。そして薬は効いた。少なくとも痛みは気にならなくなったのだ。こうしてぼくの痔はあっさり治癒したかと思われた。しかし、もちろん薬は単に痛みを抑えていただけだったのだ。以下次回につづきます。

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by bbbesdur | 2017-02-20 20:59 | around tokyo

#674 痔の話をしようか

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あまりに久しぶりすぎて、どうやって投稿するのかわすれてしまった。知らないうちにページデザイン(スキンというらしい)が勝手に変更されてしまったし。まあ勝手にというのもおこがましいくらい利用していないわけで、勝手にブログ自体が消されてないだけマシとおもうべきだろうなあ。というわけで、ブログ再開します。再開記念に気の利いた一文でもしたためようかとおもったけども、そもそも何を書いて良いのか忘れたから、今晩あたりのんびり考えます。目下のぼくの関心事は痔の手術経過で、そのことについてになるはず。



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by bbbesdur | 2017-02-19 10:12 | around tokyo