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#660 ブレるんです

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 Ricoh GRはこれまでのGRシリーズ同様、最強のスナップ・シューターを謳って登場したけれども、残念ながらキャッチ・コピーどおりとは言い難い。しっかり構えて、落ち着いて撮った集合写真や風景写真のRAWの品質はほんとうに素晴らしいが、スナップ・カメラの生命線は「さっと構えて、さっと撮れる」ことであって、最新のGRは前の機種までとは打って変わって、スナップしにくいカメラとなってしまった。
 APS-Cセンサー、しかもローパス・フィルターをなくしたことで、GRは一眼レフと同等以上の画質を得ることができた。でも、同等以上の画質を得るために「しっかり構えて、落ち着いて撮る」ことが必要となってしまったのである。これまでGRでやっていたように、突然のシャッター・チャンスに、さっと構えて片手で撮ると、まずブレる。「そもそもカメラは片手で構えるものじゃない!」という撮影の基本中の基本を守らないとならない。片手でさっと撮る森山大道を真似たくても、なかなか難しい。
 購入したばかりのころは、前のGR3とおなじ感覚で撮っていて、片手で撮った写真はほぼ全滅だった。こちらの頭の中には換算28ミリだから、そうそう簡単にはブレないという先入観があったけれども、あの小さな筐体のカメラを片手で撮ると1/60秒が楽々ブレてしまった。カメラのせいにしたかったけれども、明らかに撮影側に問題があった。いまはネックストラップをつけ、首を支点にして極力カメラがうごかないようにして撮影している。街角のスナップではシャッター速度を1/250に設定して、ISOが最高6400までオートで上がる設定にしてはいるが、いささかブレ恐怖症気味で、ついついしっかり構えて撮りたくなる。そうなるとなかなか良いスナップ・ショットって撮れないから困ってしまう。この写真のように、被写体に動きが取れない状態はいいんだけどもね。
  with GR
 
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by bbbesdur | 2014-01-18 13:41 | camera

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 Ricoh GRはⅡ、Ⅲを使ってきて、今回のGRが3代目である。購入したのは昨年の6月だったはずだから半年間使っているわけだ。店頭で見て「このサイズにAPS-Cのセンサーが入っているなんて、ちょっと信じられない! 長い間夢見ていた理想のスナップ・カメラがついに完成した!」とおもって、迷わず購入した。
 カメラとしては未完成だとおもう。ローパスフィルターを省くのが昨今のカメラメーカーの流行だ。滅多に出ないモアレに気を遣うくらいなら、解像度を上げて普段の画質を向上させた方がい、という発想らしい。
 リコーのGRもローパスフィルターレスである。RAWの精細感は抜群である。代償として、モアレの発現が著しく、しかも出方が派手である。オックスフォード地のシャツにモアレが出たのには驚いた。チェックではなく、無地のシャツなのである。生地そのものの太さ1mm以下の縦糸と横糸のパターンに出るから驚く。素晴らしいレンズのおかげで、つまりそれだけ解像しているわけなんだろうけども、無地の生地にモアレが出るのは困る。JPEGにすれば多少はマシになるけれども、今度はノイズフィルターの影響もあって精細感が薄れる。いろいろと設定をいじくり回せば、かなり良い線まで追い込めるのかもしれない。でも、ぼくは面倒だからひたすらストレートにRAWで撮っている。
 つづきはまた書くけども、GRはシューベルトの交響曲第8番である、というのがぼくの結論である。未完成だけど、素晴らしいんだ。
 with GR
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by bbbesdur | 2014-01-13 10:55 | camera

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 こういった誕生日パーティーや室内での集まりのときにこそ、富士フイルムX-E1の高感度画質に期待したくなるんだけど、世の中そうそう都合良くは出来ていない。照度が落ちる条件で、このカメラのAF能力は著しく低下する。子供や酔っ払いの動きは予想がつきにくく、コンティニュアスAFの能力をはるかに超えている。だからといって、シングルAFにすれば合うというものでもないから困ったものだ。思い切ってISOを上げても、こちらの思ったタイミングでレリーズできないから、結果的に被写体ブレを起こしてしまう。被写体の移送速度が速いから被写体ブレを起こすという通常のパターンではなく、AFが遅すぎるからその間に被写体が動いてしまうという情けない状態が実態なのだ。世の中がうまく出来ていないんじゃなくて、X-E1がうまく出来ていないだけだ、と愚痴をこぼしたくなるが、じつは撮っているこちらこそ酔っ払っていて、手元も足元もおぼつかないのである。翌日、画像を確認すると、撮った記憶のないシーンがたくさん写っていたが、ほぼ100%ブレている。ブレ防止機能の働きが弱いからいけない。ぜったいにぼくのせいじゃない。
 with X-E1 18-55/2.8-4 2013/1 那覇(写真をクリックすると大きくなります)
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by bbbesdur | 2013-01-22 21:27 | camera

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 フラタンさんのコメント返信に替えて記事をアップします。
 X-E1のファーム・ウェア・バージョン・アップの噂にはとっても期待しています。
Fuji Rumorの原文では"Improved performance of Auto Focus under various shooting conditions."とあるので、この文章がそっくりそのままFuji側の説明だとすれば、例えばAFボタンをX100Sのように十字のセレクターに充てるという機能は含まれないと読めます。AFのfunctionではなく、あくまでもperformanceのことを指しているはずです。しかし毎度ながら驚くのは、世の中にはよくもこういったフライングの掲載を見つける人がいるもんです。新製品ではないので、まさかメーカー側が意図的にリークしたともおもえないし。
 ところで沖縄でもX-E1を徹底的に使っていますが、まさか南国の光が暗さに弱いAFのスピードを上げるはずもなく、AFが遅いことには変わりありません。
 沖縄の冬はどんよりと曇って、強い北風が吹く日が多いのですが、そんな暗鬱な空を撮ろうとして雲にピントを合わせることも、かなり苦手です。これは遅いんじゃなくて、そもそも焦点が合わないんです。
 今日は旧暦の12月8日で、沖縄では無病息災を願ってムチーと呼ばれる月桃の葉に包んだお餅を食べる日なんですが、毎年、この日の前後は特に寒いと相場が決まっています。ムーチービーサーっていうんだけど、それはともかく、ムーチービーサーの空が撮れないのは困ったものです。今回噂されているバージョン・アップでは、そんな困った状況を改善してくれれば御の字です。劇的に良くなるなんて期待していませんが、曇りの日の雲が撮れないなんて、カメラじゃないですものね。
 でもなぜかムーチー当日の今日は、不思議なことに雲が少なく、清々しく乾燥した、沖縄の冬には稀に見る晴天です。青空バックの白い雲にはしっかりピントが合います。
 それはともかく、こんな日にX-E1のAFのことなんて考えているのは愚の骨頂です。X-E1の大器晩成に期待しながら平和通りでもぶらついて、ついでにムーチーでも買って食べようかな(写真は帰京し次第、サイズアップしたものに差し替えます→完了しました)。
 with X-E1 18-55/2.8-4 2013/1
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by bbbesdur | 2013-01-19 16:35 | camera

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(前回からのつづき)デジタル時代が訪れて、富士フイルムの感材ビジネスは一気に終焉を迎えました。ほんとうによくぞ生き残ったものだとおもいますが、それはともかくとして、培った写真技術を基盤にして生き延びるためには、とりあえずデジタルカメラ開発の道を歩む他に手段がなかった。しかしなにしろ主力購買層たる我々写真ファンのカメラ世界に関して、知見がない。知見がないなら、他人の話を聞けばいいのに、 製品は自分たちのアイディアで開発するものであって、使用者の意見はあくまでも参考にするだけという悪しき伝統が根強い。いまや、できるだけ多くのカストマーの声を、できるだけ早く拾って、次期製品に活かさないと置いていかれる時代だというのに。
 X-E1を使ってみて真っ先におもったのは、すくなくとも開発陣の中にスナップ写真撮影を趣味にしている開発者は、ただのひとりもいないだろうなということです。ライカ信奉者はワンサカいそうだけど、じっさい撮る人はいないと確信します。いたら、ああいった操作性になるはずがない。これは技術的に達成不可能な機能や性能に関わることではないんです。使用方法のことなんです。「出来る、出来ない」ではなくて、「やりやすい、やりにくい」という話で、カメラが道具である以上、その一点が極めて重要なんです。仕様では出来ても、使用は出来ない、なんてつまらないダジャレのひとつでもいいたくなっちゃう。
 ところで、ぼくが語っているのは、あくまでもスナップカメラとしての実力に関してのことです。
 もし旅先の名所、景観や記念写真、家族のイベントを中心に撮るというのであれば(たぶん80%以上のユーザーにとっての主要使用目的でしょう)、現時点ではほとんど最高のカメラだと思います。このサイズと重量と扱いやすさで(慌てていたり、急いでないなら、けっして扱いにくくはありません。急を要するときに扱いにくいという特性があるカメラなんです。だからいつだって慌てた状態で撮るスナップはムリなんです)、こんなに美しく自然な写真が撮れるカメラは他にないとおもいます。ただし、ズームレンズのブレ防止機能は気休めくらいだとおもいます。オリンパスのE-M5と比べると効いてないに等しい。富士はブレ防止機構については基礎技術を持ちながらも、デジタル・コンパクトカメラの世界では当初、高感度、高速シャッターでブレ問題を解決しようとしてきた歴史があって、意外に後発です。レンズに機構を組み込んだのは今度のズームレンズが初めてじゃないかなあ。ついでに付け足しておきますが、富士Xシリーズは本体とレンズのマウント部の遊びが大きすぎて、不快です。これはいろいろ触ってみましたが、個体差ではないように感じます。
 ぼくがたまたまスナップシューターであることから、辛口批評になってしまっていますが、違うジャンルの使用者であれば満点に近いカメラであることも想像に難くありません。だって、こんなに辛口の批評をしているぼく自身が、レンズを買い足そうかどうかと迷っているのだから、やっぱりとても魅力的なカメラなんです。
 それでもぼくは富士フイルムにいいたい。
「ねえ、人の話をもすこしマジメに聴いた方が身のためだよ」
って。
  てなことを、クダクダと言いつつ、それでもなんとか渓流釣りの季節が始まるまでは我慢しようとおもっていたのです、つい、昨日まで。
 濡れている被写体は他のカメラの追従を許さない美しさがあるから、水辺の光景や、艶やかなヤマメを撮ってみたいなあー、でも魚は動くからなあー、ムリかなあー、っておもっていた、そのまさに今日、ニュースが飛び込んで来ちゃった。

 富士がX100の後継機X100Sを発表しました。出るという噂は知っていたけど、まあ富士のことだから、センサーの換装程度で目先を変える、つまらないマイナーチェンジだろうとタカを括っていました。
 詳しくは富士のHPをご覧になればわかりますが、AFが位相差とコントラストのハイブリッドだというのです。ソニーのハイブリッドを試した限りじゃ、そんなに速くないけど、いまの富士に比べればはるかにマシです。そしてMFにはピーキング機能と、新たに、デジタル・スプリットイメージだって! 懐かしすぎる! でも、あの懐かしの2重丸の中に線があるやつじゃなく、なかなか新時代っぽいヤツです。こればっかりは現物を見てみないと使い勝手がわからない。
 というわけで、早速、今日、富士フイルム本社一階のFUJIFILM SQUAREに行って訊いてきました。展示機は1月下旬ごろということです。パンフレットは置いてあったので、もらってきました。「コスト削減しました!」というような、X-E1よりもさらに紙質を落としたパンフレットで、富士が既に紙媒体の情報発信に見切りをつけていることがわかります。
 さすがにひと月足らずで手放したX100で懲りているから、この新機種x100sは買わない。しかし、このX100SはAFの速度については期待してる。パンプレットには赤文字で
AF最速0.08秒とあって、フォーサーズ以上のカメラでは世界最速だっていうから驚いちゃうなあ。だって、昨日までは万年予選落ちだった選手が、いきなり金メダル候補になっちゃうなんて、凄すぎる。というか、ほんとのこといって信用できない。なにしろ富士はX-E1のパンフレットで堂々と最速0.1秒を謳っています。しかし大きなフォントで「最速0.1秒」とある下の小さな文字を良く読むとAFの速度そのものではなくて、「……フォーカスレンズ群をリニアモーターで高速かつ高精度に駆動させ、最速0.1秒のうちに、正確なピント位置へ1ミクロン単位でレンズを動かす」とあるんです。
「あのねえ、エンジニアでもないのに、いったいだれがレンズを動かす時間に興味があるっていうの!」とぼくはいまでも、このコピーに苛立っています。嘘はついていないけれども、大きな誤解を生みます。そもそも買いたがっている人は、良いところを見ようとする心理状態にあって、このコピーは購買者のそんな意識を利用しています。これは一種のまやかし、詐欺の一種です。まさか富士が反省したとはおもえないけど、でも、こんどははっきりと世界最速AFを謳っている。ほんとだったら凄い。
<AF0.08秒、起動が0.5秒、撮影間隔が0.5秒、シャッタタイムラグが0.01秒>
 でも数字じゃわからない。信用出来ない。だから早いところ試したい。というのもぼくはこのX100Sは買わないけれども、間違いなくこの技術はX-E1の次機種に載ってくるはずです。これからすくなくとも1年以上はあるだろうから、さらに良くなって。
 希望が持てるなら、売り払わず、たぶん今月末に発表されるOlympusのE-P5をパスして(自信がないけど)、レンズを買い足す決断が出来る。なんとかX-E1のトロさを我慢して、我慢して、怒りを抑えて、抑えて、来るべき1年後のカタストロフィ的大団円を待ち受ける(我慢した時間と快感の強さは比例します。ただ我慢しすぎると膀胱炎になったり、痔になったりするから気をつけないといけない)、そう、まさしく「トゥーランドット」のように、ラストで姫とカラフ王子が愛で結びつき、高らかに「誰も寝てはならぬ」のテーマがフルオーケストラで奏され、そうか、姫と王子の愛に満ち満ちた、寝ない夜が始まるんだろうなあ、とロマンチックな(イヤらしい)気分になってはくる。さっさと合体して(操作性と画質のことです)、子供を産んで欲しい。美しく、優しく、ときに母のように、ときに娼婦のように、庶民的で、優しく、愛情溢れる、そう、わたしの名はミミ……ちょいと待てよ……、そんな都合の良い子供を富士フイルムが産むかい?……そういえば左指側のAFボタンはどうした、健在だろうなあ、憎まれっ子世に憚るというしなあ。
 とおもって、写真を見るとある。確かにある。しかしもういちどパンフレットを詳細に読み直したら、なんと、最後の方に、
「また、AFフレームはカメラを構えたまま、右手で狙った位置を選択するっことが可能」! ってある! かなり恥ずかしそうに、こっそり書かれていますが、どういう風に可能なのかは、書かれていません。たぶんごくフツーに他のボタンに振り変えることができると、想像しています。それでいいのだ。じっさい今回のX100Sは名のとおり、 コストのことを優先したのでしょう、 ハード部分は変えてきていません。しかしX-E2、あるいはその前にX-Pro2では大胆に……。
あれーっ、見間違いだったことに、いま気づきました! ボタンがおなじで、写真の文字が小さいので見落としました! すみません! AFボタンはVIEW MODEボタンに変わっています。で右のホイールの上部がAFボタンとして機能するようです。富士フイルム、エラい、当たり前のことを、恥ずかしがらずによくやった! ついでに情報を追加しておきますが、鱒やさんも指摘していたX-E1で出来ないISOオート時の最低シャッター速度設定が出来るようになりました。これもエラい!今回、富士はかなり心を入れ直して、ユーザーの声を聞いているのがとても良くわかります。 
 でも気は抜けない。AFが0.08秒といったって、たとえば暗いところでどういう動きをするのかわからない。
 ともかく早く本社ショールームに並べてくれないかな。AF速度と操作系の速度を確認してみたら、また報告しますね。
 with X-E1 18-55/2.8-4 2013/1 FUJIFILM SQUARE前 年始の挨拶回りのビジネスマンですが、富士フイルム社員ではありません。
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by bbbesdur | 2013-01-08 21:14 | camera

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 すでにファースト・インプレッションでぼくのX-E1に対する結論は出ている。もう、いまさら言うべきことはない、はずなのだが、なんとなくモヤモヤが残っていて、今日まで8日間の正月休み中、家を出るときには必ずX-E1をタスキがけにして近所を歩きまわって人やら鳥やら空やらを撮り、 実家へ行ったときもおせち料理のクローズアップや両親のツーショットを撮り、ともかくシャッターを切りつづけた。 そんな8日間を終えてみて、率直な気持ちを言えば、
「休みがもっと長いといいなあ」
 ゴメン、話を逸らして、でも、ほんとうのところ言いずらいんです。
 X-E1が世間を知らないトゥーランドット姫である、と結論を出しながらも、ぼくはなんとか自分の愛で彼女を変えようとおもったんです。やっぱりあの美貌を無視して生きることなんて出来ない、と。でも姫はほんとうに世間を知らなかった。
 X-E1を使って、街中でスナップ写真を撮ることはほとんど不可能です。つまりカメラ界の言葉でいえば、動きモノを撮ることは出来ません。動きモノというと、ペットとか、鳥とか、電車や、飛行機を想像しがちですが、なんたって人間こそが動きモノなんです。動きにペットや鳥など俊敏さはないけれども、じつはかなり動きます。その人間が撮れない。スナップシューター的世界では100%ムリです。
「そんなことはないだろう、富士はスナップカメラだって宣伝してるんだし」
 スナップという言葉への感覚は人によってちがうとおもいます。元来snapという英語にはイージーな響きがついて回っているので(snackなんかも同様)、snap shotは「パチッ」と撮る、「カシャ」と撮るという、という感覚が近い。ともかくスナップであるからには、瞬間的に撮れないといけない。
 富士フイルムという会社の来し方を思わないではいられません。ライカっぽい姿形をしているから、それだけでスナップカメラって呼びたいんです。フイルムはともかく、ことカメラに関しては写真館用プロ機材と一般大衆用カメラ(「写ルンです」がその究極)の両極で成長して来た会社なんです。つまりその中間層「ぼくのような写真に凝っているオジサン(最近ではオバサンも)」に向けたカメラを開発してきた歴史が浅い。アマチュアフォトグラファーはいつの時代でも「このカメラを使いさえすれば!」という幻想を追ってプロ用機材を使いたがるものですが、富士フイルムのフィルムカメラはプロ用といっても、写真館や観光地で使用する、七五三や集合写真用の中判カメラが主力でした。三脚は風景写真家にとっては必須の機材ですが、それでもなお三脚を常に持ち歩いてまで写真を撮りたいという愛好家はいまだに少数派で、どうしても機動力に勝った35㎜版カメラに人気が集中しつづけています。フィルム時代の富士はそんなことは百も承知で、競争の激しい一眼レフ市場は放っておいたんです。なんといってもフィルムが主力商品だったから、まあカメラは好きなのを使ってちょうだい、ニコンさん、キャノンさん、どんどん盛り上げてくださいね、というスタンスでした。で、自らはブローニー版のフィルムがもっと売れるようにと、イージーなオート645カメラの開発に専念しました。ここで初めて富士フイルムは写真館プロではなく、アマチュア風景写真家を本格的に意識し始めたのです。
 しかしデジタル時代が訪れて、感材ビジネスは一気に終焉を迎えました。ほんとうによくぞ生き残ったものだとおもいますが、それはともかくとして、培った写真技術を基盤にして生き延びるためには、とりあえずデジタルカメラ開発の道を歩む他に手段がなかった。しかしなにしろ主力購買層たる我々写真ファンのカメラ世界に関して、知見がない。知見がないなら、他人の話を聞けばいいのに、 製品は自分たちのアイディアで開発するものであって、使用者の意見はあくまでも参考にするだけという悪しき伝統が根強い。いまや、できるだけ多くのカストマーの声を、できるだけ早く拾って、次期製品に活かさないと置いていかれる時代だというのに。
 未練がましくはありますが、X-E1についてはもう一度だけ近々にアップしますね。
 with X-E1 18-55/2.8-4 2013/1 近所(クリックする大きくなります)
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by bbbesdur | 2013-01-06 01:04 | camera

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 スナップ撮影における富士フイルムX-E1の操作感はとても満足出来るようなものでなかった。いまマップカメラに売ってしまえば、今回の検証費は約1万8千円で済む。週末に釣りに行くくらいの経費だ。かなり愉しく遊べた。昨日紹介した鱒やさんのコメントにあるように、ぼくがこのカメラを売ってしまうのは時間の問題だろう。ただ、それでもなお、いまのところは、このカメラを手放す気にはなれないでいる。
 その昔、村上龍は「限りなく透明に近いブルー」でデビューして、芥川賞を受賞した。そのとき、選考委員の吉行淳之介は「因果なことには才能がある」と評した。X-E1を使っていて、忘れていたこの名選評が唐突に頭に蘇ってきた。
 そうなんです、X-E1は、
「因果なことには画が美しすぎる」
 んです。
 扱い方は簡単ではないけれども、肝腎要の画質については文句のつけようがない。局部的には繊細、なのに全体の印象は大胆で、ゴージャスです。同じくAAフィルターなしのカメラに精細感を売り物にしたシグマのSD-1(M)があって、使ったことはありませんが評判は「じゃじゃ馬」で、ハンドリングには相当手こずるけれども、当たるとスゴイらしい。
 おなじくハンドリングが簡単ではないX-E1ではあるけれども「じゃじゃ馬」というイメージからはほど遠く、どちらかというと世間ずれしてない、おっとりとした「深窓の令嬢」というイメージ。
「あらっ、こんなところにスミレが。採ろうかしら。ううん、可哀想。そうよ、写真に撮ればいいのよ」といったレスポンスです。ともかく咄嗟の操作に弱くて、これは手放したX10で経験した富士の血統です。基本的にはなにも変わっていない。
 スナップ写真家はポートレイト写真家と違って、お嬢様は苦手です。おなじく女性に例えれば、都会を颯爽と歩く、活動的でミニスカートが似合う娘が好きだとおもいます。ぼくのイメージでいうと、ミラーレスカメラでいえば、それはオリンパスのE-M5とかE-P3とかです。細かいところは気にせずに、どんどん先を歩んでゆくタイプ。ただ、問題は出来上がった写真を見比べたときです。
 深窓の令嬢って皿一枚洗ったことがないから、手がすべすべで、おもわず頬を寄せたくなるくらい。 一方のアクティブ娘は、当然お母さんの家事なんかも手伝ったりするから、良く見ると手が荒れているし、座敷であぐらをかいて、おばあちゃんから怒られたりもする。
 で、アンタどっちを取るの?と問われれば、もちろんスナップ派ですからアクティブ娘と答えるのですが、問題は、相手が人間ではなくて、物質であり、その気になれば両方とも養女として迎え入れることができる点です。金で解決できる関係ですが、レンズを揃えるとなると、さしもの浪費家のぼくであっても慎重にならざるを得ない。未だ単焦点レンズを使用していないので、今回はあくまでもレビューというよりは、ファースト・インプレッションになりますが、じっさいのところ、果たしてほんとうにレンズを揃え始めて良いものなのかどうか、迷っているのです。先日、富士フイルム本社ショールームに行って単焦点レンズの動作を確認しましたが、ズームよりさらに遅い印象がありました。でも、WEBであちこちチェックしてみれば画質は相当に良さそう。来月発売の換算21mmレンズも気になるし、来年中に広角ズームも出るはずだ。スナップ派としては広角レンズが生命線だから、とっても気になる。ただレンズを揃えるとなると将来が(X-E1は深窓の令嬢を一時的に預かっていると覚悟して我慢して使うとしても)不安である。富士フイルムのことだ、またまたオチャメなカメラを作ってしまうに決まっている。
 そうわかっていても因果なことには、画が良い、から困ったものだ。シグマのメリル系機種の画を精細と呼ぶなら、X-E1は繊細である。荒削りなところがまるでない。
 気になるといえば、来年早々に発表されるはずのオリンパスE-P5(?)も気になる。EVFが装備されると噂されているし、なにしろレンズはそこそこ手元に揃っている。きっとAF早いんだろうなあ、なんたってアクティブ娘だからなあ、オリンパスは。雨が降っても、泥をかぶっても、 グラついても、へいっちゃらで笑っているんだから可愛い。それに比べて富士ときたら、世界に雨が降ることすら知らない砂漠のお姫様のようだ。いくら高感度に強いからといって夜に「誰も寝てはならぬ!」と命令したり、あまりに美しい処女なのに、生まれながらに悪女としてのあらゆる要件を取り揃えているから困ったものだ。防塵防滴カメラはぼくが生きている間には出ないと思う。やっぱ血筋ってあるよね。
 結論。富士フイルムX-E1はカメラ界のトゥーランドット姫である。勇気あるカラフ王子が登場しない限り、氷のような姫の美しさは愛へと転化しないのである。愛とは、つまり、そのー、えーっと、そう、「操作性」と「画質」の結合、合体のことです。
 with X-E1 18-55/2.8-4 2012/12(Velvia 写真はクリックすると大きくなります)
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by bbbesdur | 2012-12-29 23:57 | camera

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 X-E1について、あれこれと実機検証しているのですが、もちろん使い手の目的によって不便さが違います(いまのところ「便利さがちがう」とはいえない) 。ぼくはこのカメラがスナップカメラとして使えるかどうかを検証中ですが、友人の鱒やさん(北海道の雪景色の実写サンプル掲載中)は主にネイチャーフォトで使えるかどうかを試みています。以下に彼からのメールを掲載します。ネイチャーフォトがメイン方の参考になるとおもいます(番号はぼくが振りました)。
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 以下は、bbbesdurさんのところにコメントで書き込むか、または自分の日記に使おうかと書いたのだけれど、長いし、マニアックすぎる話なので推敲、校正するのを止めてメールにします。
 書く気満々というか執筆欲が強いというか、すごい更新量にビックリ。
①高感度の画質が良いのでISO1600オートとかは使っていますが、bbbesdurさんの地下街を絞り優先ISOオート6400で撮ると(#632の記事のことです)、X-E1は6400を選ばずに1600で1/30を選んでしまいます。絞り優先ISOオートでは最低シャッタースピードが(18-55の場合だけ?)1/30に固定されていて、これが困るんです。 シャッタースピード優先ISOオートでは、もちろん1/120には固定できるけれども、こんどは絞りが開放になるまで進まないとISOは次のステップへ移らない。絞り優先ISOオートで最低シャッター速度を可変設定できるといいのに。18-55の手振れ補正は非常に強力だとはおもうけれども、それでも55mm端で1/30は不安になることもあります。ならばシャッター速度と絞りを共にマニュアルにしてISOはオートでいくと、カメラ側は、それはマニュアル撮影でしょと判断して、ISOは自動可変なのに露出補正が出来なくなってしまう。ISOオートの時には、これも自動撮影なのだからISO感度の可変に対応して、露出補正ダイアルを使えるようにして欲しいです。 
②あとは、ネットでは指摘されているのをみかけないけれど、マニュアルフォーカス時のワンプッシュAFで、合焦マークが点灯しないのは何故? 
③マクロのスイッチボタンを意図せず触れて押してしまうことが多いのが困る。 
④三脚穴の位置、アクセサリーシューの位置。光軸と並べるべき。カメラクイックプレートが、この三脚穴の位置では付けられない。アルカスイス規格のカメラプレートは出るらしいけれど、高いし、他のカメラには使えないし、購入するか考えています。
⑤視度補正ダイアルはアイカップで隠すべき、調整時はアイカップを外しておこなうことで誤動作を防げる。 
⑥充電器のコードが邪魔。直接プラグでコンセントに刺せるのが今のスタンダードでしょう、コードが邪魔です。(特に自転車旅、特殊すぎるか?) これは、かなり大きな不満で、バッテリーの持ちは悪いし、旅のカメラを謳うなら、この辺りは考えて欲しいです。
 bbbesdurさんが、人が撮れない、とX-E1を放り出すのは時間の問題だと予想しています。でも、中判カメラが風景に特化しているようなのと同じ意味で、X-E1には今のところは存在価値はあるとおもってもいます、撮る気にさせてくれるカメラだし。でもまあ、運動会の撮れないカメラってのは、これはもう、やっぱりマニアのためのニッチなカメラなのでしょう。
 他のカメラメーカーも絵作りに関して(だけ)は富士フイルムに学ぶべき所は多いと研究して来ることは間違いないと思うし、そうなれば操作性は悪くても絵の良さは...って言い訳は効かなくなるからなぁ。富士のXマウントが生き残れるかどうかは、富士がキビキビした使い易すさを搭載するのと、他のメーカーが富士フイルム並の絵作りを開発するのと、どちらが先かで決まりそうですね。
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 以上、鱒やさんからのメールの転載でした。
 スナップでは速射しにくい、ネイチャーフォトでは三脚が使いにくい。中途半端なカメラを形にするとE-X1になった、という印象です。
 それにしても、こんなに使い勝手が悪いカメラを、なんでまたアンタ買ってまで検証なんてしてるの?
 そのこころは、また明日!
 with X-E1 18-55/2.8-4 六本木(Velvia 写真はクリックすると大きくなります)
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by bbbesdur | 2012-12-28 21:39 | camera

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<解像力・階調性・低ノイズで、決定的瞬間を受け止める>
 かどうかを検証しようと、会社にカメラを持っていったら、またまた失敗してしまった。冬の夕陽に高速道路のメンテナンスをしている5人が美しいシルエットになっていたから、すかさずカメラを構えてズームレンズの長焦点端側で、ウマく撮った、つもりだった。一昨日のISOの失敗に懲りて、ISOを200に固定したカスタムセットを選んでいたけれども、他のことはすべて忘れてしまっていた。絞り優先で撮っていて、f6.4を選んだが、夕陽がかなり強かったので、シャッター・スピードのことは気にしなかった。六本木通り上に掛かる首都高速3号線のメンテナンスをしているのだが、場所柄、通過車両の騒音で遅いシャッター音が聴こえなかった。液晶ディスプレイで確認すると次のショットが遅くなるから、液晶では確認しない癖をつけようとおもって、EVFで確認した。しかしピントがあっているかどうかを確認するためには、やっぱり一旦再生ボタンを押さなくてはならず、結局、目をいったんEVFから離さないとならない。だったら液晶画面で確認した方が楽だ。これは自宅での事前勉強不足で気づかなかったのだ。ファインダーを覗きながら、ファインダー直下の拡大ボタンを押すのはムリな相談だ。
 という様々な言い訳を用意するハメになったのは、選ばれたシャッター速度が1/4だったからである。ブレ防止が効いているかどうかを確認したかったわけじゃない。なんとかこの掲載サイズだとブレが目立たないが、拡大すると一目瞭然である。恥ずかしいから今日はクリックしてもあまり写真は大きくなりません。
 昔はISOは増減感したところで、フィルムの途中で変化させることなんてできなかった。いまは1ショットごとに変えられるし、大半の一眼カメラには状況に応じたISO自動可変の機能があって便利この上ない。FujiFilmX-E1にもこの機能があるが、なぜぼくがその機能をONにしないで、ISO200固定にしたかというと、オートにしておくとこのカメラはあまりにあっけなくISOを上げてしまうからだ。なにしろオートで6400まである。よほど高感度に自信があるのだろう。オールドタイマーのぼくとしてはISOを上げると画が粗くなるという昔からの常識が身体に沁み込んでいるものだから、ISOを上げるのは最後の手段にしたいという気持ちが常にある。
 今回のミスは完全に未熟なぼくの腕のせいではあるが、ほんとうはISOオートに加えて、最低シャッター速度が設定出来れば問題ないのである。このあたりも昨日X-E1ユーザーである友人の鱒やさんと電話で話した時に話題になった。「X-E1に不足していること」を中心にしたメールをくれたので、明日あたり、詳細を紹介します。
 with X-E1 18-55/2.8-4 六本木 (Velvia)
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by bbbesdur | 2012-12-27 20:19 | camera

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 富士フイルム X-E1はほんとうに宣伝文句どおり、
<解像力・階調性・低ノイズで、決定的瞬間を受け止める>
 ことが出来るかどうかを検証するため、今日は仕事場にX-E1を持って行った。それなのに、ISOの設定を間違えてしまった(ことに、いま気づいた)。なんとすべてをISO6400で撮影してしまっていたのだ。今日の東京はピーカンに晴れていたので、ほとんどの写真のコントラストがキツ過ぎて、がんばったけれども調整が不可能である。あー、気に入った画があったのに!
 ただ地下道で撮ったこの写真だけは、甘めに見ればいちおうちゃんと最低限、写真らしくはなっているから、このカメラはエラい! 使用者のミスをカバーする力があるのだ。決定的瞬間を受け止める、ことができるかどうかは疑問であるとしても、未熟な使用者のミスをリカバリーする解像力、階調性があることは、図らずも検証出来た。じっさいここはとても暗くて、ISO6400であっても、f5.6でシャッタースピードは1/110しか出ていないから、地下道では被写体ブレしないギリギリだったのだ。ノイズは乗っているけれども、この程度は地下道ではやむを得ない。このケースに限っていえばISO6400の意図しない選択は結果的に間違ってはいなかった。X-E1、エラい! 今日は眠いので、この辺で、つづきはまた。
 with X-E1 18-55/2.8-4 溜池山王駅 (Velvia ISO6400)
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by bbbesdur | 2012-12-26 01:03 | camera