カテゴリ:health care( 23 )

#678 痔の話 第4回

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 患部を切開して盛大に膿を出し、日帰り手術を終えた気になっていた(じつはこれは手術ではなかったのだ)ぼくには、しかしひとつ問題があった。まさにその日(金曜日)の深夜に岩手に移動して、現地の友人と釣りをする予定だったのだ。ぼくには友人との釣りの約束だけは余程のことがなければドタキャンしないというポリシーがある。「余程のこと」が今回の痔の手術(とおもっていた)に相当するかどうかは判断が難しかった。迷った末に痔なんてキャンセルの理由にはならないという結論を出した。しかし岩手まで車で行くとなると、途中の仮眠を入れて8時間以上はかかる。痔の手術の翌日に8時間ひとりでドライブするっていうのは、さすがにマズいとおもった。そこで急遽予定を変更し、翌朝発の東北新幹線に切り替えた。それもできる限り負担を軽減するためにお尻にグリーン車を奢った。じっさい移動中にはまるで問題はなく、ときどき揺れる新幹線のトイレでお尻に貼られたガーゼを確認したが、出血がひどくなっている気配はなかった。友人との釣りは愉しかった。岩手南部の里川では桜が満開で、うららかな初春の陽気にヤマメたちも浮かれていた。しかし土手を上り下りするときに、普段はまったく意識することのなかったお尻の筋肉の重要性を思い知った。やはりムリがたたったのか、帰りに寄ったラーメン屋ではカウンターの止まり木に直接座ることが出来なかった。お尻が痛いんだけど、というとお店の女の子が気を利かせて座布団を持ってきてくれた。ぼくはいっぺんでその女の子が好きになった。岩手の女の子は優しい。初日に宿に戻ってシャワーを浴びたが、やはり切ったところから、多少の出血があった。まああれだけ運動したのだから仕方がないだろうとおもった。翌日ももちろん釣りをした。雲が多くて寒い1日だった。ヤマメたちも前日の陽気さとは打って変わって不機嫌に黙り込んでしまった。まあ釣りにはありがちなことだ。その日は釣りを早めに切り上げ、宿に戻って、シャワーを浴びる前にガーゼを確認すると、なんだか前日と様子が違っていた。血ではなく、黄色く汚れたシミが出来ていた。切開した部位から、膿が出ている。おかしい、普通ではない。ぼくはその日のヤマメのようにたちまち元気を失った。つづきます。

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by bbbesdur | 2017-02-27 20:54 | health care

#677 痔の話 第3回

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 で、切ったわけ。
「歯医者さんと同じ局部麻酔をするので、ちょっとチクリとしますが、あとは痛くありません。心配なさらなくて大丈夫です」
 この医師は珍しく患者に丁寧な言葉遣いをするのである。わたしは常々医師にありがちな「自分が偉いと思っている」態度、および言葉遣いを不服としている者であり、そうでないこの医師をエラいとおもった。好きな人にはお尻見せてあげるけど、好きじゃない人にはお尻見せたくないよね。
 じっさいチクリとした。腕に注射されるのは、子供の頃からやってきているから慣れている。でも、お尻にチクリとされるのは慣れていないから、ちょっとばかり痛かった。でも、まあ大したことはなかった。麻酔が効いているようで、メスを入れているらしいが、まったく痛くはない。
「うーん、かなり粘度のある膿ですね。出てこないなあ」
 という。粘度があると良くないらしい言葉の響きで、ちょっと不安になった。さらさらの膿なんて想像できないとしても、このときぼく脳裏には「この手術だけじゃ、治らないのか?」という不安が去来した。しかしほどなく医師は、
「あ、出てきた」
 と言って、つづいて
「おー、いっぱい出てきた」
 と言って、ぼくは安心して、
「出てきましたか」
 とほとんど意味のない相槌を打った。
「ちょっと押しますよ」
 と、医師は言って、お尻の中心に指を入れ(人差し指か中指かわからなかった。あんまりこのブログ記事とは関係ないとしても)、グリグリと内側から膿を押し出すようにした。それほど痛いとはおもわなかった。ちなみにぼくが男の人の指を初めて受け入れたのは、たしか33歳か34歳の頃、那覇でのことで、相手は山城さんだった。というか山城外科の院長だったわけだけど、生まれて初めて痔(いわゆるいぼ痔)になったのだった。山城さんに入れられた指があまりにショックで、終わったあと立ち上がれないぼくに看護師さんが「大丈夫ですか?」と聞いてきた。ぼくはかなり動揺していた。それにしても、あのころは本当に毎日が飲み会だった。間違いなくアルコールはお尻に影響したはずだ。ともかくお酒が痔に悪いことだけは、明確です。かなり悪いとおもう。でも、若いうちは免疫力が強かったからか40歳ごろまでは一度も再発しなかった。というわけで、大昔テレビでやっていた「巨人の星」並みの遅々として進まないストーリー展開だけど、しばらくはこの調子でつづけていきます。ではまた!


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by bbbesdur | 2017-02-23 21:14 | health care

#676 痔の話 第2回

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 医師からはしばらくお酒は控えるようにと指示されたが、翌週は沖縄出張だった。お酒なしの沖縄出張はムリなのだった。だから飲んだ。それも必要以上に飲んでしまった。帰京する前の晩、仲間と国際通りから海側に向かう路地沿いにある海鮮ワイン居酒屋とでも呼ぶべき店に行って、飲み放題のワインを飲んだ。飲み放題のワインにロクなものがないのはこの世の常識だ。しかし沖縄では酒の種類や店にこだわらないのがぼくの信条なのである。沖縄では何にせよ、こだわるという行為そのものに、どこか行き過ぎの感が付きまとうからだ。そもそも「こだわらないのが信条」なんて言っていること自体がひとつのこだわりであって、早い話がぼくは沖縄を愛しているけれども、絶対にうちなーんちゅにはなれない種類の男なのだ。というふうに、いつものように沖縄について語り始めると、この一年後の現在にいつになっても辿り着かない。ともかくこだわりやら何やらを一切省略して一言で言えば「飲み過ぎた」のである。いやあ、じつにすっきりとした表現ではないか。で、どうなったかというと、翌朝、お尻の中心が痛くなったのだ。それもいますぐ病院に行きたいとおもうくらいに。夕方のフライトを午前の便に変更し、飛行機のなかでお尻をずらしつつ痛みをうっちゃり、羽田から会社に戻らず、病院へ直行した。指示を守らずお酒を飲んだら腫れたと正直に医師に告げると、想像とは真逆に「腫れましたか!」と明らかに喜んでいるのだった。診察台に移っても「いやあ、ぷっくり腫れてますね。痛いでしょう」とやっぱりどこか嬉しそうな声音で語りかけて来るのだった。医師が喜んだのは、患部が腫れ上がって、場所の特定が出来たかららしかった。ここまで腫れると、切るしか方法がないが、いいか、と聞くから、これが噂の日帰り手術かとおもい、「やってください」と答えた。つづきはまた近々書きます。

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by bbbesdur | 2017-02-22 09:26 | health care