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#272 いつかはライカ

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 ぼくはライカを持ったことがない。所有という意味だけでなく、手にしたことすら一度もないんだ。じっさいビックやヨドバシ、あるいは日本中のカメラショップで、ライカは店頭に「どうぞ触ってみてください」というふうには置かれていない。ライカだけは、ガラスのショーケースのなかで、さらさらと音がするような硬い光線を浴び、じっとそこにあるのだ。だから、友人が持っていないかぎり、触るチャンスなんてない。興味がないんじゃなくて、とてもとてもとても興味があるからこそ、見ないフリを、この世にライカなんて存在していないフリを、してきたんだとおもう。ぼくが選ぶ側に立つニコンやオリンパスの陳列棚とちがって、ライカの場合、向こう側が所有者を選んでいる気配がある。
 たとえば上の写真はライカ銀座店だけど(世界初の直営店なんだって、知ってた?)、この女性の店員、ヨドバシやビックの店員さんたちとはだいぶ趣が異なる、よね。だいいち、売り手も買い手も坐ってるしね。手前の三つのクッションにお客が坐って、彼女の「次の方どうぞ」という言葉を待つのだろうか。そしてなによりも、ぼくがこの円いクッション(赤じゃないけど、明らかにロゴを意識している)に坐って、ライカユーザーとなる日が、いつかくるのだろうか?
 かつてぼくはライツFOCOMAT V35を自分の暗室で使っていた。赤いマルのなかにLeicaじゃなくてLeitzとあって、そのとき初めてライカがLei-tz社のCa-meraだから、Lei-caとなったことを知ったのだ。でも引き延ばし用のレンズはNikkorだった。で、いつごろからか「いつかはライカ」がぼくのおまじないとなった。
 50歳も過ぎたし、年齢だけはそろそろライカの風格に追いついてきた。ここらでそろそろ、というおもいもある。M型デジタルは老後の愉しみに取っておくとして(M12か13くらいになってるかな)、いままさに発売が延期されているライカX1(上の写真の右端のカメラ)にはとても興味がある。正月休みにうっかりdpreviewに掲載された画像サンプルを見てしまった。そして「休み明けに予約しよう!」と決意した。とうとうその日が来るのだ「いつかはライカ」の、その日が。ワインをおかわりして、ディスプレイ相手に「ライカを所有する日がやってきた」前夜祭をやった。ベビースターラーメンの新しい袋を剛毅に開けたり、けっこう机の上は盛り上がっていたなあー。
 で、また朝がきて、こんどはレビューを読んでみた。そしてちょっと熱が冷めた。スナップカメラの王道を行くはずのライカなのに、フォーカスが遅い、らしい。ぼくにとってAE、AF速度問題は、愛用のGRD3ですら一日に最低3回くらいはおもい悩む最重要問題なのである。まさかスナップのためのカメラを作りつづけてたあのライカに限って、そんなわけがない、とおもったのだけど・・・・・・(つづきは明日にしておきます)。
 with DP1 2010/1/6撮影 銀座
by bbbesdur | 2010-01-07 19:29 | camera