#241 酔っぱらった人工衛星

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 ぼくはiMACの壁紙に「EarthDesk」を使っている。3年くらい前から使い始めてなんどかバージョンアップしている。もしXeric Design社がEarthDeskのWEBサポートを止めてしまったら、ぼくは困る。なにが困る、という具体的なことはないけれども、きっと宇宙船の窓が閉じられてしまったような閉塞的な気分に陥ってしまうとおもう。
 iMACの立ち上がりがやや遅くなるという欠点はあるけれども、数分ごとに更新されるから(設定で更新インターバルを変更できる)、いま世界のどこで陽に昇って、どこに沈んでいるか、月明かりがあるのか、ないのか、雲はかかっているのか、いないのか、といった情報が一目でわかる。
 夜になっている地域には街の灯さえ光っていて、雲がかかると光も薄くなる。人工衛星から地球を見下ろすとこんな風に見えるんだろうなあ、なんておもいながら、いい気になって若いワインを飲みすぎたときには(まさにいま。ちょっと待っててね、いま写真撮るから)、じっさい目の前がクルクル回っちゃう。
 ぼくは地図の中心点を那覇に設定していて、で、いま現在どうなっているかというと、沖縄上空には薄い雲がかかっているから、月はあるけど、どうかな、朧月夜といったところじゃないのかな。それはいいけどさあ、来週はもう12月だというのに、台風が接近しているんだ。台風はぎゅっと凝縮したかんじで、とても美しい。美しい台風はきまって強い。女といっしょだ。だから、台風の名前は昔アメリカがそうしていたように女性の名にすべきだ。台風めぐみ、とか台風カナ、とか台風明日香、とかに。だいたい台風19号とかの番号にするから、大自然が秘めた荒々しさを想像できなくて、被害が拡大するんだ。女性の名前にしてくれれば、怖がったり、こないでくれと願ったり、勝手に上がりこんでこないように戸締まりを万全にするとか、去ってくれてありがたい、とか連想することができるのに。ホント、今回のマリコにはマイッタよなあ、とかね。ごめん、酔っぱらいの話はどうしてもくどくなるからしかたない。なんてね、自分でいってどうする、タハ。でもさあ、明日から会社だとおもうと、ついついお酒を飲み過ぎちゃうんだ。ほんとうにいやなんだなあ、東京で働くのが。朝の通勤をかんがえただけで、気持ちが萎縮しちゃうんだよ。なんの話、してたんだけっか? そうそう台風だよ、台風。明日から12月だっていうのにだよ。あれ、これもう書いたけっか? ごめん、ちょっと頭を冷やしに顔を洗ってくるよ。
 ひゃー、やっぱり東京の冬の水は冷たいねえ。南の島から帰ってきたばかりの身にはひときわ沁みるなあ。
 それで、肝腎の台風なんだけど(なぜ台風が肝腎なのか、いまちょっとおもいだせない)、東側にある猛烈な雨雲はそのまま太平洋に右腕を伸ばすように連なっていて、アリューシャン列島までとどいている。中心の位置はというと、経度はほぼ東京とおなじ、緯度はルソン島北端くらいかな。それにしても金曜日の夜から、この台風まったくうごいてないって知ってた? ぼくは壁紙にEarthDeskを使っているからわかっちゃうんだな、これが。なにがいいって・・・・・・(以下たかだか25ドルくらいでネット購入したソフトを自慢する文章があまりに醜いので削除しました。酔っ払っていても、そのくらいの判断はできるんです。って、オマエまた自慢を始めるつもりかい?)
 台風はいま太平洋の西の濡縁によっこらしょと坐り込んだようなかんじだ。あまりの寒さに、先に進む気がしなくなっちゃったんだとおもう。ほら、なにしろ、台風って、夏の生まれじゃないの。じゃあ、いつ仕込まれたのかって? さあ、まさか人間のように10ヶ月前ってわけじゃないだろうけど、ひょっとしてマリアナ海溝の底には恐竜のような卵がごろごろ転がっていて、夏の海温上昇で孵化して、ある日、ドーンと海面から飛び出してくるのかもしれない。だったら台風なんて呼ばないで、いっそのことエルニーニョドンとかラニーニャザウルスとかにすればいいのに。で、なんの話だっけか? そうそう台風だった。あれっ、いまのいままで台風の話をしてたじゃないの。なんだ、オレって酔っ払ってなんかいないかも。
 なんの話をしてたんだっけ?
 じっさい、いま、ちょっと寝てたかもしれない。しかし、眠いよ。いったいぜんたい、なんでオレ、こんなことやってるのかなあ。だれに向かってでもなく、あてどのないネット世界に向かって「台風の名前についての冗長な話」を一方的に発信することで、オレはなにを実現したいんだ? 実現? ずいぶん大げさじゃないの。オマエはただ怖いんじゃないのか、「ぼくは、ここに、いますよー」って叫びつづけていないと存在を忘れられてしまう自分が。まあいい、このことは、たっぷり時間とお酒がある正月にかんがえるとしよう。いま問題になっているのは、台風のことだ(なにが問題だったのかわすれた)。
 しかしさあ、まさか冬の台風が日本列島を奇襲するなんてことがあるのかなあ、真珠湾奇襲の日は近いけど。画面ではハワイはだいぶ東で、いまちょうど夜が明けたところだ。島の北側にものすごい雲があるけど、なんとか晴れてる。しかし、こんな遠いところを攻撃しようなんて、帝国海軍もずいぶんおもいきったことをしたものだよ。ところで12月8日は真珠湾奇襲だけじゃなくて、ジョンレノンが撃たれて死んだ日でもある。遺作となった「ダブル・ファンタジー」の「WOMAN」を、ぼくはジョン・レノンによる「世界中の男はすべからくマザコンである」宣言っておもってるんだけど、ほんとうに大好きな曲なんだ。しかしオノ・ヨーコはいかれてる。おなじアルバムのなかの「KISS,KISS,KISS」だったっけか、ただの「KISS」だったか、ともかくオノ・ヨーコのあのときの喘ぎ声がはいってるんだから、初めて聴いた時は、慌ててステレオのボリューム下げたもの。ジョンの歌と二律背反っていうか、まあだから「ダブルファンタジー」なんだろうね。男と女はおなじひとつの幻想を追えないってことだ。ダブルっていえば聞こえがいいけど、つまりは抱き合いながら、ちがう夢を見てるわけで・・・・・・、ところでなんの話・・・・・・というか、もう寝ることにする。おやすみ、世界中のマザコン野郎といつも美しい世界中のあらゆる女性たち、また明日、どこかで会おうね。
 ある初冬の日曜日、ひとりのサラリーマンはこうして一日中一歩も外に出ず、写真も撮らず、本も読まずに、ただグラス片手に眼下の地球を眺めていたのであった。
 with GRD3 2009/11/30撮影
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by bbbesdur | 2009-11-30 02:08 | around tokyo