#235 ハロー・グッドバイ

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 このごろ彼は彼女と追いかけっこをしているような気分になることがおおい。まるでビートルズのハロー・グッドバイだ。
——君は「いいわ」といい、ぼくは「いやだ」という。君が「やめよう」といえば、ぼくは「行こう」という。ぼくが「こんにちは」といっているのに、君は「さよなら」をいう。
 あの歌のふたりがすれちがいをかんじて、別れることになったのは、付き合い出してからどのくらいが経ってのころだったのだろうか。彼がまだまだ彼女を知らないつもりでいるのに、彼女はもう別れの気分だなんて、気持ちに差がありすぎる。ひょっとすると自分たちもハロー・グッドバイのふたりとおんなじ状態なんじゃないか? 付き合い始めてまだ一年も経っていないのに。
 心配になった彼が彼女の手に触れようとおもった瞬間、彼女はヤシの木から手を離して、波打ち際へ行ってしまった。
 with GRD3 2009/11/22撮影 奥武島
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by bbbesdur | 2009-11-24 08:46 | 短編小説