#197 広島の夜

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 暖簾の向こうに外国人らしき女性の姿が見えていた。迷わずに引き戸を引いて店に入った。外国人のいる店は当たりがおおいから。
 ぼくは広島にきていて、夜も9時を過ぎていた。広島はなんども訪れているけれども、かならずお好み焼き屋に行く。ひとりでも行きやすいし、広島にかぎってお好み焼き屋でハズレることなんてない。
———それにしても9時過ぎからお好み焼きかい?
 とぼくは自分に問いかけ、ベッドに横たわった自分の胃のなかで膨張するお好み焼きを想像してしまった。そこでぼくはホテルのフロントで地図をもらい、街を歩いた。たぶんぼくが歩いたのは新宿でいえば、歌舞伎町のようなところだったとおもう。広島って、都会だなあ、とおもった。ぼくは新宿は2丁目は好きだけれども、歌舞伎町は苦手だ。ネオンを避けて、暗がりの方へと向かい始めたとき、明るく清潔そうな店が目にとまった。ガラスの引き戸の向こうにカウンターが見えて、そして外国人が座っていた。
 店のママさんは、もちろん広島カープファンだった。当然サンフレッチェのファンでもあった。ぼくが外木場や阿仁屋の話をしたら乗ってきたから、広島商業の佃投手と作新学園の江川投手が投げ合った甲子園の決勝戦の話をした。ママはぼくより若く見えた。
 たぶんママはぼくとの会話を愉しんでいたとおもう。どうしてそうおもうかというと、奥のマスターが苦々しそうな表情で天ぷらを揚げていたから。
 ママさん、薄い唇をしていたけど、とても似合う色の口紅を引いていた。唇の形に合う色ってあるんだなあ、っておもった。
 with GRD3 2009/9/8撮影 広島市
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by bbbesdur | 2009-09-08 23:17 | west japan