妖精姉妹の美容室

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 銀色の魚がたくさん棲んでいるおおきな湖のほとりにその美容室はある。そこには美しい妖精の姉妹がいて姿だけではなく、こころも美しいから、店には毎日たくさんのお客さんがやってくる。近所の若奥さんや、三つ編みをした中学生の女の子、そしてぼくのように自宅から車で一時間かけてくる男もすくなくない。そしてこのあたりは山奥でもあるから、ときどきバンビやリスもやってきて、ちょこんと鏡の前に坐っていたりもする。じっさいぼくがこの美容室を知ったのも森の入り口の掲示板に「妖精姉妹の美容室開店」という看板を見つけたからだった。それからというもの、ぼくは毎月一度会社を早退して、髪を切ってもらいにくる。腕はたしかだ。でも、バンビやリスもくるくらいだから、いつも店は予約でいっぱい。この不景気風が吹きすさぶ時節にあって、ひと月先まで埋まってる。だからぼくは月にいちどの決まった週の決まった曜日に恒久的な予約を入れていて、死ぬまで通いつづけるつもりでいる。だって姿とこころがどちらも美しい妖精姉妹がやっている美容室なんて、ほかに知らないもの。
 with GRDII 2009/4/2撮影 津久井湖畔
<予告>明日より一週間"Cherry Moment" と題して桜特集をやってみます。
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by bbbesdur | 2009-04-03 00:38 | around tokyo