#678 痔の話 第4回

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 患部を切開して盛大に膿を出し、日帰り手術を終えた気になっていた(じつはこれは手術ではなかったのだ)ぼくには、しかしひとつ問題があった。まさにその日(金曜日)の深夜に岩手に移動して、現地の友人と釣りをする予定だったのだ。ぼくには友人との釣りの約束だけは余程のことがなければドタキャンしないというポリシーがある。「余程のこと」が今回の痔の手術(とおもっていた)に相当するかどうかは判断が難しかった。迷った末に痔なんてキャンセルの理由にはならないという結論を出した。しかし岩手まで車で行くとなると、途中の仮眠を入れて8時間以上はかかる。痔の手術の翌日に8時間ひとりでドライブするっていうのは、さすがにマズいとおもった。そこで急遽予定を変更し、翌朝発の東北新幹線に切り替えた。それもできる限り負担を軽減するためにお尻にグリーン車を奢った。じっさい移動中にはまるで問題はなく、ときどき揺れる新幹線のトイレでお尻に貼られたガーゼを確認したが、出血がひどくなっている気配はなかった。友人との釣りは愉しかった。岩手南部の里川では桜が満開で、うららかな初春の陽気にヤマメたちも浮かれていた。しかし土手を上り下りするときに、普段はまったく意識することのなかったお尻の筋肉の重要性を思い知った。やはりムリがたたったのか、帰りに寄ったラーメン屋ではカウンターの止まり木に直接座ることが出来なかった。お尻が痛いんだけど、というとお店の女の子が気を利かせて座布団を持ってきてくれた。ぼくはいっぺんでその女の子が好きになった。岩手の女の子は優しい。初日に宿に戻ってシャワーを浴びたが、やはり切ったところから、多少の出血があった。まああれだけ運動したのだから仕方がないだろうとおもった。翌日ももちろん釣りをした。雲が多くて寒い1日だった。ヤマメたちも前日の陽気さとは打って変わって不機嫌に黙り込んでしまった。まあ釣りにはありがちなことだ。その日は釣りを早めに切り上げ、宿に戻って、シャワーを浴びる前にガーゼを確認すると、なんだか前日と様子が違っていた。血ではなく、黄色く汚れたシミが出来ていた。切開した部位から、膿が出ている。おかしい、普通ではない。ぼくはその日のヤマメのようにたちまち元気を失った。つづきます。

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by bbbesdur | 2017-02-27 20:54 | health care