#485 富士フイルム X10レビュー <Leica X1とFujica X10>

a0113732_23233259.jpg

 富士は昔からライカが好きで、LEItzのCAmeraだからLEICAだったことを真似て、フジのカメラだから、フジカと名づけたのである(と、いっさいの情報なしに、ぼくはそう固く信じているけど、まちがいはないとおもう)。それほどにシンプルに富士はライカを信奉し、その結果としてあのフジノンレンズが誕生したのである。昔のフジカのスタイルって、じっさいX10そのものだ。それはそのままライカ風なのだから、X10がライカ風の撮影スタイルになって当然である。でもって、デジタル時代になってもライカがX1と名づければ、富士はX100やらX10と名づける。あんまりライカ信奉ぶりが激しくて、恥ずかしいくらいだ。いまや競合メーカーであるというのに。きっと富士フイルムはフイルム時代、きっとライカを標準機と考えて感光材を開発していたんだろうな。
 ところで今回のX10が、ちょっと前に出したX100ともっともちがう点はなにか?
 たしかにファインダーはちがう。X100のあれは発明だったが、でもあれでAFや操作の速度が犠牲になるくらいなら、ぼくはあのまるでなにもない、フォーカスフレームすらない、合焦のグリーンマークすら窓の外に瞼の脇で光っていて、ファインダーのなかにはただただあっけらかんとクリアな光景が広がるX10がいい、ずっといい。富士は今回X10を「開発者のための先進的なモノ」ではなく、極めて現実的な「撮影者のためのモノ」とするという、かなり固い決意をしたんだとおもう。前々回も書いたX10のやる気は、こんな部分にも強く現れているのだ。
 ちがいは画質だろうか。X10の画質について、いまのところぼくには文句がない。コンパクトカメラとしては、という限定すらしたくない。出てくる画としてぼくなんかのアマチュア・ニーズには余りある美しさだとおもう。X100は手元にないからわからないが、すくなくとも以前使ったNIKOND7000+18-105mm/3.5-5.6の組み合わせよりは、はるかに色っぽい。
 そして操作性がちがう、まったくちがう、格段に向上した。
 そういった様々な点で、これまでの富士とはまるでちがう。
 じつは最大のちがいは機能や画や製品そのものではなく、カメラに対する思想、あるいはコンセプトではないか。
  今回、X10で富士はFinePixというブランドを使っていない。 富士は自分たちの船が、大海原でおおきく舵を切ったことを対外的に表明するため、これまで使ってきたFinePixという旗を下ろしたのだ。製品名が「富士フイルムX10」であって「FinePix X10」でないことが、FinePix X100との最大のちがいであり、一大転換点であると想像するのである。
 かつてライカのモノマネで自社製品をフジカと名づけた富士が、NIKONやCANONのようにコンパクト系にだけブランド名を残しつつ、マニア向けにはブランド名なしにするのか、あるいはあのルックスから想像できるように、OLYMPUSがPENを復活させたように、「フジカ」の再来もありうるのか。
 富士フイルムはこんどの春にレンズ交換式の、それもフルサイズ品質のカメラを発表すると確約している。もしX10で見せた、ブレないやる気をレンズ交換式でも実現できたなら、これは相当なモノになるはずなのだ。Fujica X1000とか?
 じつは三陸沿岸に轟沈したD700とGRDの保険金を秘匿している最大の理由はここにあって、そんなバラ色の期待をしながら年を越すなんて、ああ、なんと素敵な年末だろうか! 
 with FijiFilm X10 2011/10 六本木 
[PR]
by bbbesdur | 2011-11-08 00:05 | camera