#476 テイスト・オブ・ハニー

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 川に水没させてしまったNIKONのD700とSIGMA1.4/50が修理不能を宣告されてもどってきた。胸ポケットに入れていたRICOHのGRD3は修理されて手元にもどった。
 ぼくが使うカメラは、いつかどこかの川で、かならず水没してしまう。だからこそ携行品保険に入っていて、これまでは修理料金を保険でカバーしてきた。修理不能となったのは今回が初めてだ。修理不能の場合、保険金は経年分を差し引いた時価だそうで、あんまり期待していなかったけれども、意外なほど高額に査定されて、おどろいた。新品を買ってもだいぶおつりがきてしまう。いやあ、とても勉強になった。勉強になったからといって、こんどは意図的にカメラをバスタブに浸けて窒息死させるわけにはいかない。しかし濡れた手でバスタブを撮影していたら、滑ってカメラがバスタブに落下することがないとはいえない……バスタブだって写し方によってはアートになるのだから……というふうに思考した先に待っているのが保険金詐欺への甘い誘惑である。
 カメラが水没してしまったという結果はおなじなのに、水没した原因が問われる、という携行品保障契約は、おもえばじつにおおらかな契約で、逆にだからこそ道徳的な契約なのであった。意図的にやるか、やらないか、が犯罪者になるかならないかの境界であり、すべてを知っているのが自分だけという密室状況において、頼りになるのが自分の良心、道徳観となるわけで、おもえばじつにぼくに向いていない契約なのであった。密の味を知ってしまったからには、密が恋しくなる前に、解約した方が身のためだ。しかしよくよくかんがえてみれば、ひょっとしたら来年の河原はなぜか今年よりも滑りやすいかもしれないから、念の為に倍額に……。
 with GRD3 2011/9 岩手
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by bbbesdur | 2011-10-22 12:40 | north japan