#395 葉子の心配

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 海峡のながいトンネルを抜けると、そこはあいかわらず雪国であり、旅情たっぷりのこころで車内を見回しても現実は厳しく、葉子のような美しい少女はどこにもおらず、せっかくの夕暮れだというのに透き通った瞳は夕映えのなかに燃えはしないが、驚いたことにはホームに葉子の弟に似た若い駅員がいた。駅長さんはしっかりと面倒をみてやってくれているだろうか。
 JR北海道は日本全国のどのJRより乗客に対して数倍礼儀正しく、断然親切だ、とかんじているのはぼくだけだろうか? あるいは言葉の響きが柔らかいせいかもしれず、それを浅田次郎は「ぽっぽや」でうまく使ったが、北海道はぽっぽやの故郷だから、きっとたくさん優しい駅長さんがいるのだ。いまどきの葉子も安心していいが、数年先には越後のトンネル同様、津軽の海底を新幹線が駆け抜けるようになるというのだから、葉子の弟も雀躍して密かに新幹線の運転士を夢見ているかもしれず、駅員から運転士への転身というのは困難やもしれず、いまのうちから有力な函館と札幌の駅長にコネをつけておかねばならず、葉子の心配の種は尽きないのである。
 GRD3 2011/2
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by bbbesdur | 2011-03-01 00:13 | north japan